タイミングに合わせて、適材適所で役割分担

 阿久津さんは「私は決してキャリア志向のタイプではなかった」と言います。家族全体の幸せを考えたときに、やむにやまれず、仕方なくこうするほかなかった、と。

 「長い人生を考えれば、誰が家事をしてもいいし、誰が仕事をしてもいいはず。家族みんながそれぞれの幸せを考え、その時々のタイミングに合わせ適材適所で役割分担することはママ一人の問題ではなく、家族全員の問題だと思うのです。

 けんかばかりしていた“元”義父は数年前に他界してしまいましたが、最後は私のことを実の娘のようにかわいがってくれました。命懸けのけんかもしましたが(笑)、自分をさらけ出して衝突することで分かりあえることもやっぱりあるんです。子育ても仕事も、自分をとりつくろって一人で抱え込んでも、いいことなんか何もありませんから。

 『一人では何もできないから助けてほしい』。そう言葉にするのは、確かに勇気がいりますよね。誰しもいい母、いい妻だと思われたい見えもあるから。でも、勇気を出して、ありのままの自分をさらけ出せば、開けてくる扉があるんです」

 阿久津さんはそれこそが“開運の秘訣”と笑います。「開運」とは面白い受け止め方だと思いませんか? 聞けば、ハセガワエスティは“子宝事務所”と呼ばれているそう。

 ブライダル業界では司会を務める女性のキャリアが波に乗ってくる需要のピークと女性のライフイベントが重なるため、彼女たちに仕事を続けてほしいという思いから認可外保育園を創設しました。認可外保育園を事業として展開することで、ワーママたちをサポートしているのです。果たして、人呼んで“開運事務所”とは一体、どんな場所なのでしょうか?

* 次回に続きます。

(ライター/砂塚美穂、撮影/西山和希)