関心が高いのに学ぶ環境がないIT。海外へ視察も

 “中高生一人ひとりの可能性を最大限伸ばす”というミッションの下、ツールとしてITを選んだ理由を水野さんは「中高生がITに非常に関心を持っているのは、開成高校での経験で感じていました。でも、教えてくれる人もいないし、学ぶ受け皿が日本にはなかったのです。僕自身が新しく変えるチャンスだと感じた」と言います。

 創業に当たって参考にしたビジネスモデルは、キッザニアとディズニーランド。「両施設ともに、海外のフランチャイズです。海外で成功したものを持ってきたり、参考にしたりしたほうが、0ベースから作るよりも、日本では成功すると感じました。調べると、当時スタンフォード大学で子ども向けのプログラミング教室があったので、早速視察に現地へ赴きました」(水野さん)

 キャンプを実施する舞台となる大学の協力は、新聞記事などから賛同してくれそうな大学の先生を探し、アポをとり理解を得るという地道な活動をしたといいます。

 「創業メンバー3名は、皆プログラミングのプロではないんです。カリキュラムや、大学、企業との連携をどうするか? 資金も十分ではない中で苦労も多くありました。でも『中高生ひとり一人の可能性を最大限伸ばす』という熱い思いと、幸いにも話をした大学や企業の方が、将来に向けて必要な取り組みだと賛同、支援をしてくれたのが原動力になっています」(水野さん)

 事業成功のポイントを聞くと、水野さんは、まだまだ夢半ばと断りつつ「子どもがまた来たいと思う場所であり、学びが楽しいと気づくことが大切。そのため、KPIではリピート率を重視していますし、リピートしたいと思っていただけるように細部までプログラムは熟考している」と言います。

 日々のプログラムの進め方や声掛け、チームビルディングや講演会のタイミングを綿密に練ることで、一体感が醸成され、キャンプでは日を追うごとにチームの雰囲気が変わっていくそう。また作業中にかける音楽やカラフルなTシャツなどのグッズにもこだわりがあるといいます。

 「ステッカーやTシャツといったグッズをデザインして、参加メンバーに配っています。終了後も、グッズを見るたびにキャンプでの成功体験や楽しかったことを思い出す好循環につながります。キャンプごとに違うデザインのグッズをコレクションしているリピーターもいて、SNSで仲間と盛り上がっています」(亀田さん)

初日に自分で好きな色のTシャツを選び、教室では音楽をかけリラックスモードで開発を進める
初日に自分で好きな色のTシャツを選び、教室では音楽をかけリラックスモードで開発を進める