「ぜったい心筋梗塞や」と胸を押さえて恐怖とともに待つこと10分、たくさんの人がやってきた。救急車一台と二人くらいの担当者がさらっと来るものだと思っていたらあいにく救急車が出払っているとかで、まず消防車がやってきた。そのあとに救急車もやってきて隊員が合計8人、みたいなことになり、到着するや否や心電図&血圧計を付けられて質問をされ、どうみてもおおごと&いつもの見慣れた生活の場がいきなり非日常と化してしまい、そのことにまさかのパニックを起こして、過呼吸に

ひたすら謝り続ける「昭和のおかん」なわたし

 夫に抱かれた息子の心配そうな顔をみると「不安にさせたらあかん、しっかりせなあかん」と思うのだけれど、何もかもが恐ろしく、我が身に起きた初めてのことに、どうしていいかわからない。そして悲しいかな……思い知らされたのが自分自身の「昭和のおかん感」で、隊員のみなさんに、なぜか、なぜなのか、泣きながら「すみません、本当にすみません、こんなおおごとになってしまって、ほんとうにごめんなさい」みたいに、ひたすら謝りつづけているのである。

 わけがわからない。隊員のみなさんにとっては仕事だし、病気は自分のせいじゃないのだから恐縮することなんてまったくないのに、これが……染みついているんですねえ、昭和の女性の「わたしなんかのために感」としか言いようのない、こういうときに発揮されるあの罪悪感。あと、「家の前に救急車とか消防車とか、ご近所にこんなん、どう思われるんやろう、ああ……」みたいな、ふだんだったら「どーでもええやろ」と笑っているような、自覚したこともないはずの「世間体」を気にしている自分もいて(!)、通常時にはわからない自分の「悲しくなるほど小者感」を目の当たりにし、これにはあとあと、気持ちがすっかり暗くなったのだった。

 で、搬送先の病院で詳細な検査の結果……なんと、身体的には異常がないというのだった

ストレスが原因でこんな痛みが!?

 「死ぬかと思うくらい痛かったのに異常ないって、先生、嘘やろ……」と震えながら話をきいてみると、どうもこれは「心臓神経症」と呼ばれる疾患の症状で、つまり、ストレスによる痛みなのだそう。後日ネットで調べてみると、心臓付近の神経のノイローゼ、みたいな説明もあり、まじかよ……とわたしはさらに考えこむことになった。もちろん大きな病気じゃなかったことには感謝だけれど、しかし、死ぬかと思うくらいのあの痛みがストレスによるものだなんて、いったいどんなストレスだっていうんだろう……。

 たしかに去年の秋は、深刻だった。