定員を増強させている自治体もあり、無策でないことは分かった。しかし、子ども子育て予算が日本はGDPの1.3%でしかない。少子化に危機感を覚え国が本気で子育て支援を行ってきたイギリスは3.9%、スウェーデンは3.6%、フランスは2.9%であり、みごと出生率を回復させてきた。

「保育ニーズの急増」は言い訳

 今回、安倍総理が待機児童解消の公約を果たせなかった理由として、「働き始める女性が予想以上」と発言した。しかし、本当に“予想以上”なのだろうか? 駒崎弘樹氏のコラム「今年も「保育園落ちた」待機児童問題阻む自治体の壁」でも指摘があったが、政府の対策には、将来の少子化トレンドを見越して、子育てに関する予算を大きく割きたくないという意思決定バイアスがある。共働き世帯が増えている実態を直視し、それに見合う保育インフラをつくる投資をしていかなければ、常に「保育ニーズが急増した」という言い訳とともに、いたちごっこは続くだろう

 安倍総理が2013年に語った成長戦略の言葉を引用しよう。

 「(待機児童解消加速化プランは) やれば、できます。要は、やるか、やらないか。」 そのとおり。今こそ、やるか、やらないか、国の未来を真面目に考えて直ちに実行に移すべきなのではないか。


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 さて次回は、納得がいかないながらも認可外保育園に入園することになった家庭のために、自治体からの保育園補助額についてを分析して比較したい。

(調査・文/日経DUAL編集部)