排泄は勉強や習慣のように、教えてできるものではない
トイレトレーニングをいつからスタートするか? ということは、多くの親が迷うところです。保育園も学年ごとにクラス編成されることが多いですが、例えばクラス担任から「1歳児クラスはトイレに慣れることを目標にしましょう」と言われたとき、早生まれの子は、生まれ月の早い子に合わせてオムツを外せるよう、努力するべきなのでしょうか。
「どの程度を目標にしているのかによりますよね。親御さんが不安を覚えるのは分かりますが、基本的に目標はあくまで目標。結果には個人差があっていいと思いますよ。生まれ月が早くておしゃべりが得意な子なのに、排せつのタイミングを教えてくれないことを悩まれている親御さんもいます。お子さんに直接『しゃべれるんだから、おしっこくらい言えるようになって』と声をかけているのを見かけたこともあります」と話すのは60代の保育士Aさん。
40代の保育士Bさんも「排せつは勉強や習慣のように教えてできるものではないですしね。うちの園では、1歳児にはお昼寝から起きたときだけはトイレに座ろうねと声がけをしています。でも、嫌がられたら無理強いはさせません。楽しくトイレに行って、出たらラッキーという感じでしょうか。排せつのタイミングは個人差がありますし、オムツはいつかは必ず外れるんです。子どもにプレッシャーを与えない方がいいです。だからトイレが年間目標だという話も『トイレってこういうところなんだ』と子どもが慣れるための設定と思って、あまり焦らなくてもよいのではないでしょうか」と話します。
保育園によっては、保育園主導でトイレトレーニングをしてくれり、積極的に協力してくれる場合もあるでしょう。とはいえ、30代保育士Cさんからは厳しい言葉も。
「しつけを園任せにする親は困ります。トイレトレーニング、文字の練習、算数の計算…、とにかくなんでも園に要求してばかり。僕らに全部任されるとしんどいですよね。家ではいつも紙オムツを使っておいて、『保育園ではパンツを履かせて、ちゃんとトイレトレーニングしてください』と言われたこともあります。そういう親の子どもは『家ではオムツにしていいのに、保育園ではトイレに行かないといけないの?』と、混乱してしまう。かわいそうなのは子どもです」
保育園児の場合は、親と園がうまく連携してトレーニングを進めていくのがよさそうですね。
次ページからは、実際にトイレトレーニングを経験した二人のママの体験談をご紹介します。