「グローバルな環境で、子どもにより高いレベルの教育を受けさせたい」と、子どもの将来の可能性を考えて、親子で日本を飛び出す海外移住に興味を持つ人は多いでしょう。海外で会社員として働く形態には、主に「海外駐在」と「現地採用」の2種類がありますが、グローバルライフプランを現実的に考えるためには、海外移住に関わる費用をはじめ、仕事や物価、治安、教育環境など現地の情報を総合的に押さえたうえで、後悔のない決断をしたいものです。シンガポールで現在2歳の娘を育てるファイナンシャル・プランナー(FP)花輪陽子さんによるこの連載では、実際に現地で子育てをするお金のプロの視点から、現地採用の基礎知識や子育て事情のリアルを伝えていきます。今回のテーマは、シンガポールで働くために欠かせない就労ビザ。「家族を付帯させるには、厳しい条件がある」とのことですが、具体的にどんな条件を満たせば取得ができるのでしょうか。

シンガポール移住には、「Employment Pass」または「S Pass」が必須!

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。グローバル社会に向けて、子どもの教育のためにシンガポールへ移り住みたいと興味を持っている人も多いでしょう。夢を実現させるために、実際にシンガポールで働くには「work visa(就労ビザ)」が必要になります。就労ビザには種類があり、日本人など外国人労働者の多くが保有している代表的なものは次の2種類になります。

 まず、専門職向けの就労ビザです。駐在員などの多くが取得しているビザが「Employment Pass」という種類。主にマネジャーやエクゼクティブ向けで、月収は最低でも約30万円以上などの要件をクリアする必要があります。

 次に技術職向けのビザで「S Pass」と言われる種類があります。中間レベルの技術職向けで月収約18万円以上稼ぎ、技術レベルを満たす必要があります。事務職、幼稚園教師、看護師などもこのビザで働いていることが多いようです。建設業、製造業、サービス業などで働く人向けのビザは「Work Permit for foreign worker」というものですが、家族を連れて来ることはできません。

 シンガポールで家族を連れて来て働くとなると、「Employment Pass」あるいは「S Pass」を目指すことになります。家族を付帯させるには、最低でも月収約40万円以上など更に厳しい要件を満たす必要があります。「Dependant's Pass」という家族ビザの保有者も「Letter of Consent」を出すことで働くこともできるので、シンガポールで共働きすることも可能です。まずは夫婦のどちらかが家族を連れて来られる条件で、ビザを獲得することが重要になります。ビザを取得するには雇用主がそれぞれの家族の書類を提出する必要があります。ビザの要件などは頻繁に変わりますので、詳しくはシンガポール政府のサイトなどで都度ご確認ください。

シンガポールでの現地採用を目指すには、「work visa(就労ビザ)」の取得に関する情報収集が必須
シンガポールでの現地採用を目指すには、「work visa(就労ビザ)」の取得に関する情報収集が必須