創業127年の温泉旅館・火事や戦争もくぐり抜け
福島駅から電車で20分ほどのところに、飯坂温泉があります。なかむらやの初代は、福島市郊外の土湯温泉からこの飯坂に出て、花菱屋(創業1688年といわれる)の建物を買い受け、1890年に創業。大きな火事があっても、本館の「江戸館」は土蔵造りのため焼失を免れました。増築した「明治館」は総ケヤキ造りで、当時の名棟梁の工夫が生きているそうです。
第2次世界大戦の際には、家じゅうのほとんどの金属を供出。都内からの学童疎開の宿となり、戦後は近隣の人たちの湯治場として営業しました。1998年には国の有形文化財に指定。3階建て、白壁の土蔵造りは、温泉街で目を引く存在です。目の前には、松尾芭蕉も訪れたという共同浴場「鯖湖湯」が。なかむらやののれんをくぐると、帳場に囲炉裏、大時計。昔のままの空間に迎えられます。