研究して分かった、世界で一番おいしいごはんは離乳食

―― そう考えると、子どもって味にすごく敏感な感じがしますね。

スズキ 子どもは大人よりも味覚が敏感だと思います。まず、苦いものは基本的に「毒」だと認識しますからね。逆に、甘みは体内で一番早くエネルギーになるので、脳がそれをおいしいと認識するみたいなんです。

―― だから、子どもは甘いものが好きなんですね。野菜も甘みがあったら食べるのかしら?

スズキ そうですね。離乳食を作っていたときに実感したんですけど、野菜を色が悪くなるまで、くたくたに煮込んだときの甘さってすごいな!と感動して。キャベツとか、ほうれん草とか、小松菜とか甘いって思わないじゃないですか。なのに、弱火でじっくり煮込んでいくと甘さが極限まで引き出されていく。私は離乳食って実は世界で一番おいしいごはんなんじゃないかと思っているぐらいです

―― 生まれて初めて食べるごはんが、世界で一番おいしいものだなんて! 離乳食って奥深いんですね。

スズキ そうなんですよ。私は離乳食を研究してみて、いかに素材から甘みやうま味が出るのかを知りました。料理への考え方が全くもって変わったほど、衝撃的な出合いでした。そうした知識を少しでも皆さんにお届けしたいなと。

―― エミさんは、子どものころから料理がお好きだったんですか?

スズキ どちらかというと食べるのが専門でした。実家は8人家族だったんですけど、父も祖父も“のんべえ”だったので、食卓は毎日にぎやかでした。母と祖母はごはんやつまみを作るのが大変だったと思いますけど。祖母は煮物などの昔ながらの和食を作り、母は祖母が作らないようなグラタンとか、鶏ガラからだしをとったラーメンとか新しいメニューを開拓していました。年越しそばだけはなぜか父が張り切って、飲みながらそばを作るんですけどね。 

―― 「作ること、食べることって楽しい」と思えるご家庭で育ったんですね。

スズキ そうかもしれません。祖母からはいつも「ごはんを作ること、食べることを面倒がっちゃいけないよ」と言われていました。うちは弟が2人いるんですけど、2人とも飲食の世界で働いているんです。

―― 皆さん、おばあさんやお母さんのごはんに対する思いやDNAを引き継いでいるんですね。

スズキ お互いジャンルは違えど、飲食の世界で働いているので、弟にアドバイスを仰ぐこともたまにあります。この前、「センスよく美しく盛り付けできるようになるにはどうしたらいいのか?」と聞いたところ、「花屋に行って、花を見ると勉強になるよ」と言われたんです。確かに花の形や色、飾るときの全体の配色、位置などからどうしたら美しく見えるのか、学べるなぁと。

―― すてきなアドバイスですね。盛り付けも食欲をそそる大事なポイントですものね。

スズキ 子どもって彩りよく盛り付けてあげると喜ぶので、見た目も意識していくといっぱい食べてくれると思います。とにかく食べるって楽しい!って感じられる食卓を作っていきたいですね。


季節の移り変わりや旬のものを大事にしているエミさん。リビングやキッチンには必ず季節のお花を飾り、日常を豊かにする工夫をしている

スズキエミ
宮城県石巻市出身。上京した後、音楽の仕事を経て、レストランやカフェに勤務。その後、料理家として独立し、料理教室「暦ごはんの会」を主宰。素材の持ち味を生かした「気持ちをかけたごはん」を紹介。季節の野菜と普段の調味料で作るごはんづくりが得意で、毎日の暮らしの中で繰り返し作ってもらえるようなレシピを心がけている。著書に『季節の保存食とレシピ』(家の光協会)、『スズキエミさんのいただく野菜』(主婦の友社)などがある。