米どころ、宮城県出身で実家はお米農家だったというスズキエミさん。子どものころから、目の前の田んぼや畑でとれたお米や野菜を食べていた経験から、いつしか素材の持つ良さやうま味に興味を持ち、料理家の道に。そんなエミさんが息子さんといつも一緒に作る、体にも優しいおやつや子どもの好き嫌い、そしてごはん作りへの熱い思いについて、じっくりお聞きしました。

■「上」の記事
スズキエミ 5歳の息子と一緒に作る、みたらし団子

息子はジャムが苦手……。でも、おいしいからめげずに作り続ける

日経DUAL編集部 今日、教えていただく「葛プリン」も息子さんと一緒によく食べるんですか?

スズキエミさん(以下、敬称略) そうですね。もともとは私が好きで作り始めたんですけど、普段息子はおやつの時間におむすびとか煮干しとか、かりんとうを食べることが多いので、ぷるっとした食感のプリンを出したら大喜びで。葛プリンも、前回のみたらし団子に続いて時々リクエストがあります。

―― 普通のカスタードプリンではなくて、葛プリンなのは何か理由があるんですか?

「息子は苦手ですけど、やっぱりジャムを添えると色鮮やかで、よりおいしそうに見えますよね!」(エミさん)。いつか好きになってくれる日が来る……!?
「息子は苦手ですけど、やっぱりジャムを添えると色鮮やかで、よりおいしそうに見えますよね!」(エミさん)。いつか好きになってくれる日が来る……!?

スズキ 葛は蓮根や梨と同じように肺や喉を潤してくれる効果があるんですね。私が呼吸器系があまり強くないものですから、特に乾燥が始まる秋くらいから食べるようにしているんです。葛は体も温めてくれるので、息子にも食べてもらいたいなと作ったのがきっかけでした

―― おいしくて体にも良い効果があるなんて、子どものおやつに最適ですね。葛プリンは何かカラメルなどで甘みを付けるんでしょうか?

スズキ うちの場合は、季節のジャムをかけて食べることが多いです。ジャムは週末の朝に食べるパンやパンケーキなどに使うので、いつも季節のフルーツを使って常備しています。冬だと柑橘類やキウイで作ったり、春夏はいちごや梅とか、秋になると無花果、りんごなどで作りますね。

 ただ、実は息子はジャムがあまり好きじゃないんですよ。どうも加熱したり、加工したりした果物が苦手みたいで……。りんごを煮たものとか、ドライフルーツも苦手ですね。生のフルーツは大好きで、毎朝食べるんですけどね。保育園でぶどうパンが出るんですが、それが嫌だと言うので、「干しぶどうはチョコチップだと思って食べてみたら?」と言うと、最近は食べられるようになったみたいです。

―― 干しぶどうがチョコチップに。想像力豊かです(笑)。

スズキ 苦手なものは好きなものにイメージをすり替えるっていうのもありだと分かりました。子どもが苦手なものでも、大人は好きだし、食べたいので毎回食卓に出しますよね。一切食卓に出さなくなると、その食材に触れる機会がなくなってしまうので、息子が苦手なジャムもせっせと作っています。

―― そのときは嫌だと感じても、あるときふっと食べられる!という瞬間がありますもんね。では、季節のジャムを添えた葛プリンの作り方を教えていただけますか。