スマートフォンやタブレットなどのデバイスから子どもがネットなどを利用することが増えてきた。調べ学習に利用したり、学習アプリなども利用したりできる一方、誤って危険で有害なサイトにアクセスしてしまうことも。保護者は子どものネットやデバイス利用を制限すべきなのだろうか。制限実態と共に、安全利用の観点からどこまで制限・管理すべきかまでを考えていきたい。

Q. 子どものネット・デバイス利用は制限・管理するべき?

子どものネット利用に放任気味の日本

 まず、日本における子どものネット・デバイス利用制限状況について見ていこう。

 日本を含む世界14カ国を対象としたマカフィー株式会社(インテル セキュリティ)の調査(2017年1月)によると、子どものデバイス使用を監視する方法として、「デバイスは保護者自身が管理し、自分の目の届く範囲でしか子どもにデバイスを使わせない」と回答した保護者は14カ国平均で35%だった。子どものインターネット上での行動を監視するソフトウェアを取り入れている保護者は同23%だった。

 一方、日本では「デバイスは保護者自身が管理し、自分の目の届く範囲でしか子どもにデバイスを使わせない」と回答した保護者は14カ国平均を下回る20%であり、子どものインターネット上での行動を監視するソフトウェアを取り入れている保護者はわずか8%と14カ国中、最低となった。日本では子どものインターネット利用に対して放任気味なのだ。

 14カ国平均で80%の保護者が子どもがインターネット上でSNS上の危険人物やサイバー犯罪者と交信することを心配している一方、日本では同様の懸念を抱く保護者は61.5%にとどまった。日本の保護者は子どもが直面しているインターネット上の危険性について正しく理解していない可能性がある。

 保護者が監視するのは、子どものネット利用だけでなく、デバイスの使用時間も含む。日本では、そもそもインターネット接続デバイスの使用を制限していない保護者が45%に上り、14カ国平均の31%を大きく上回り、やはり放任している傾向が見られる。

 もちろん、保護者は子どものインターネット利用について完全に監視できるわけではない。14カ国平均で34%の保護者が「子どもがデバイスから不適切なウェブサイトにアクセスしていることを発見したことがある」と回答する一方、日本では発見したことがあるという回答は17%と平均の半数にとどまった。これは、日本の保護者はそもそもチェックもしていない可能性が高いと見るべきだろう。

 なお、内閣府の満10~17歳の子どもの保護者を対象とした「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(平成28年3月)によると、子どものインターネット利用における保護者の取り組みは以下のようになった。

 「大人の目の届く範囲で使わせている」「フィルタリングを使っている」「機器に備わっている利用制限・閲覧制限機能等を使っている」「普段の会話やコミュニケーションの中で、子供のインターネット利用状況を把握している」「規則正しい生活習慣と規範意識を身に付けさせるため、利用する時間や場所等のルールを決めている」など、何らかの管理をしている保護者が8割に上っている。しかしこちらの調査でも、「子供のインターネット利用の管理は行っていない」が1割以上を占める。