皆さま、こんにちは。キッズマナーインストラクターの東節子です。「子どもに伝えたいマナーの話」では、これまでの4回で子どものしつけやマナーについての考え方と、マナーを身に付けるために、まずは子どもの自立が必要であること、そしてそのためにどうしたらいいのか、ということを、お話してきました。

 今回は、子どもにとっても大人にとっても大切な、マナーの基本でもある「挨拶」がテーマです。

 近頃、アルバイトとして採用しても、きちんとした挨拶ができない学生が増えているとよく言われます。私は講師として高校や大学に通っていますが、最近は先生に挨拶をしない生徒が多いことに驚かされます。中には、体育会系のクラブなどで厳しく指導されているのでしょうか、立ち止まって姿勢を正して「おはようございます」と敬礼する生徒もいます。でも横を通りすぎても無言、こちらから声掛けしても無視という場合もあります。幼児教室なら、子どもをつかまえて「なんていうの?!」と無理にでも言わせるところなのですが…。小・中学校を含め、概して言えることは、明るい挨拶がたくさん聞こえる学校は「全てにおいて感じがいい!」ということです。

 「人の心を繋ぐ金の鎖」ともいわれる「挨拶」。その語源は、禅宗で相手の修行や悟りの深浅を試す問答を指す「一挨一拶」という言葉で、これが省略されて、お辞儀や返礼も含めて「挨拶」と呼ばれるようになったと言われています。「挨」には「心を開く」、「拶」には「相手に近づく」という意味があります。つまり「出会った人がお互いに心を開いて、相手に近づき迫る」もので、「あなたを大切な人と思っていますよ」という承認の証でもあるのです。相手を見ないで、作業をしながら、「心ここに在らず」の挨拶では意味がありません。笑顔としっかりとしたアイコンタクトで、心に迫るような挨拶をしたいものです。

 挨拶の言葉は、どんなに短くてもすべてそれぞれに語源や由来があり、意味があるのです。声を掛けるときは、意味を思い出し、自分の思いを重ねて相手に伝えることが大切ですね。子どもたちもそれがわかると、挨拶がぐっと身近なものに感じるかもしれません。小さな子どもにも覚えてもらいたい挨拶言葉と、その意味をご紹介します。