2015年に成立した女性活躍推進法が昨秋からスタートし、実際に労働環境が変わったり、女性の管理職が増えたりしているのを身近に感じている人も多いでしょう。管理職候補に挙がったはいいものの、子育てとの両立で不安を感じている人もいるかもしれません。では企業で活躍するママ管理職たちは、どのように不安や壁を乗り越え、自分なりのリーダー術とチームの喜びを見出したのでしょうか?

『ママリーダーの「チーム術」特集』では、波乱万丈なリーダー経験から学び、構築してきたノウハウを惜しみなく教えてもらいました。特集第5回では、大企業の人事担当としてすべての社員が能力を発揮できるような働きやすい環境づくりに奮闘する女性が登場。「愛知県ファミリー・フレンドリー企業 知事表彰」や「名古屋市 子育て支援企業 最優秀賞」受賞など東海地方を代表する両立支援の実績も注目されるトヨタファイナンスで、長年人材マネジメントに携わる篠原宏美さんに話を聞いていきます。

【ママリーダーの「チーム術」特集】
第1回(上) 坂東眞理子さん直伝!「脱いい子」で新リーダー像
第1回(下) 坂東眞理子 上手な部下の叱り方、トラブル対処術
第2回 理想は「ナウシカ」の変革 ネットマーケのイクボス
第3回 自分の常識は他人の非常識と心得た 時短勤務ボス
第4回 先手打ち防御も学んだ LIXIL営業事業部長ママ
第5回 「見える化」で思いを実績に変えた 金融大手イクボス ←今回はココ
第6回 ハーバード流の女性経営者育成に62社が参加

篠原宏美さん

トヨタファイナンス人事部人事グループ主幹。電力会社で人事教育担当として働いた後、出産を機に退職。3人の娘を出産後、第3子が2歳のとき、教育関連会社のコールセンターに入社。2002年にトヨタファイナンスに転職。カスタマーサービス部門の教育トレーナーを経て、2009年に人事部に異動。女性活躍推進リーダーとして活躍。現在は、次世代リーダー育成に注力。

時短・パートタイムでの第2のキャリア 300人規模のコールセンターで教育係に

 40歳のときに中途採用で、トヨタファイナンスに入社した篠原宏美さん。新卒で入った電力会社を、出産を機に退職。自分にとっての“育休期間”と気持ちを切り替え、3児を育てながらフリーランスの教育トレーナーとして少しずつ経験を積み、約8年の専業ママ期間を大切に過ごしつつ、末の子が2~3歳になるころに大手教育関連会社で第2のキャリアをスタートした。

 当初は、「非正規・パートタイム」での復帰。「新卒で入社した会社では、人事教育担当として人材育成に携わらせていただいていました。キャリアのブランクを経て仕事復帰した教育関連会社では、お客様からの問い合わせや相談に応対するコールセンターのオペレーターをしていましたが、『お客様が何を求め、どうすると満足していただけるのか』を常に考え発信を続けるうちに、オペレーターからいつしかマネージメント的な役割を期待されるようになり、契約社員でありながら300人規模のコールセンターの教育係になりました」


  非正規で第2のキャリアをスタート。顧客満足を追求するうちに、教育係に抜擢


 2002年トヨタファイナンスのカスタマーセンターのオープン2年目に転職。コールセンターと人事教育担当双方の経験が評価され、入社3カ月目にはカスタマーサービスセンターの教育トレーナーとなり、「良質なサービスをお客様に提供するためには、スタッフのモチベーション向上と、良質なサービスの均一化が大切」と、当初なかった様々な教育や研修の機会を自らつくり、人材育成に力を尽くしてきた。

チームだからこそできた、障がい者新卒採用目標達成!

 2010年には「仕事と家庭の両立支援 専任担当」に抜擢。同社の「両立支援ガイドブック」を全面改訂したり、イントラネットなどを通じた社内への啓発活動、制度の拡充、仕事と家庭の両立支援フォーラムを開催したりするなど、数々の施策を実施しながら、多くの女性社員のキャリアを後押ししていく。その結果、2007年に10人程度だった育休者、時短勤務者数は、現在150人を超えるほどにまで増加。2010年度の「名古屋市 女性の活躍推進企業優秀賞」ほか多くの賞を獲得。2015年度には「名古屋市 子育て支援認定企業最優秀賞」を受賞するなど、社外からの評価も高い。

 「当社が表彰を受けている理由の一つは、ダイバーシティーや女性活躍、両立支援の取り組みがボトムアップ型であること。通常企業におけるこうした取り組みは、トップが主導するトップダウンで進められることが多いと思いますが、『自分のキャリアは自分でつくり、働く職場は自分たちで良くする』という風土は、職場で働く社員の中から生まれたんです

 篠原さんは現在、女性活躍推進活動やハラスメント対応、障がい者新卒採用を担当している。

 「障がい者の新卒採用は2人で担当していましたが、一人が異動となり、今後の採用活動に不安を感じていました。しかし、ピンチはチャンス。2016年に東京・名古屋オフィス合わせて5人のチームを組成し、皆で力を合わせた結果、毎年2~3人の採用実績が8人にまで増えたのです。『チーム力』と『組織力』の素晴らしさを感じましたね」

 篠原さんを除く4人のチームメンバーは、人事総務部兼任の女性で障がい者の採用経験は初めて。未経験分野に挑戦するメンバーたちに、リーダーとして篠原さんがしたことは2つ。1つは、障がい者採用をする意義、目的を明確にすること、そしてもう1つは、彼女たちを信じ、業務を任せたことだ。

 「仕事のノウハウそのものよりも大事なのが、その業務の意義や目的を明確に意識共有すること。障がい者採用は、応募者の強みや長所、才能が当社でどう生かせるのかを考えることが何よりも大切です。そしてそれは、当社が掲げる『人材マネジメント方針』の『人を大切にすること』(=多様性を認め、フェアネスを貫き、人を育てること)につながります。私たちの仕事は人の役に立つ、大変意義のあることなんだと何度も伝えました」

<次のページからの内容>
■【壁の乗り越え方】小さな一歩でも行動を起こし、賛同・協力者を増やしていく
■【理想のリーダー】困ったときに見捨てず支えてくれる上司たち
■ 【女性リーダーの4つの弱点】自己完結的/失敗回避/遠慮/視野の狭さ
■3人の育児経験があったからこそ、今の自分がある
■【究極のリーダー術】どんなに心が乱れても、平常心に戻れる術を持つ

次ページから読める内容

  • その業務の意義や目的を明確に見せて、チーム力を発揮
  • 地道な活動で皆の理解を深め、各職場が自走できる仕掛けを作った
  • 視野を広げ、大勢の人を巻き込んで仕事を。失敗を恐れないで!
  • 3人の育児経験があったからこそ、今の自分がある

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