時短・パートタイムでの第2のキャリア 300人規模のコールセンターで教育係に
40歳のときに中途採用で、トヨタファイナンスに入社した篠原宏美さん。新卒で入った電力会社を、出産を機に退職。自分にとっての“育休期間”と気持ちを切り替え、3児を育てながらフリーランスの教育トレーナーとして少しずつ経験を積み、約8年の専業ママ期間を大切に過ごしつつ、末の子が2~3歳になるころに大手教育関連会社で第2のキャリアをスタートした。
当初は、「非正規・パートタイム」での復帰。「新卒で入社した会社では、人事教育担当として人材育成に携わらせていただいていました。キャリアのブランクを経て仕事復帰した教育関連会社では、お客様からの問い合わせや相談に応対するコールセンターのオペレーターをしていましたが、『お客様が何を求め、どうすると満足していただけるのか』を常に考え発信を続けるうちに、オペレーターからいつしかマネージメント的な役割を期待されるようになり、契約社員でありながら300人規模のコールセンターの教育係になりました」
非正規で第2のキャリアをスタート。顧客満足を追求するうちに、教育係に抜擢
2002年トヨタファイナンスのカスタマーセンターのオープン2年目に転職。コールセンターと人事教育担当双方の経験が評価され、入社3カ月目にはカスタマーサービスセンターの教育トレーナーとなり、「良質なサービスをお客様に提供するためには、スタッフのモチベーション向上と、良質なサービスの均一化が大切」と、当初なかった様々な教育や研修の機会を自らつくり、人材育成に力を尽くしてきた。
チームだからこそできた、障がい者新卒採用目標達成!
2010年には「仕事と家庭の両立支援 専任担当」に抜擢。同社の「両立支援ガイドブック」を全面改訂したり、イントラネットなどを通じた社内への啓発活動、制度の拡充、仕事と家庭の両立支援フォーラムを開催したりするなど、数々の施策を実施しながら、多くの女性社員のキャリアを後押ししていく。その結果、2007年に10人程度だった育休者、時短勤務者数は、現在150人を超えるほどにまで増加。2010年度の「名古屋市 女性の活躍推進企業優秀賞」ほか多くの賞を獲得。2015年度には「名古屋市 子育て支援認定企業最優秀賞」を受賞するなど、社外からの評価も高い。
「当社が表彰を受けている理由の一つは、ダイバーシティーや女性活躍、両立支援の取り組みがボトムアップ型であること。通常企業におけるこうした取り組みは、トップが主導するトップダウンで進められることが多いと思いますが、『自分のキャリアは自分でつくり、働く職場は自分たちで良くする』という風土は、職場で働く社員の中から生まれたんです」
篠原さんは現在、女性活躍推進活動やハラスメント対応、障がい者新卒採用を担当している。
「障がい者の新卒採用は2人で担当していましたが、一人が異動となり、今後の採用活動に不安を感じていました。しかし、ピンチはチャンス。2016年に東京・名古屋オフィス合わせて5人のチームを組成し、皆で力を合わせた結果、毎年2~3人の採用実績が8人にまで増えたのです。『チーム力』と『組織力』の素晴らしさを感じましたね」
篠原さんを除く4人のチームメンバーは、人事総務部兼任の女性で障がい者の採用経験は初めて。未経験分野に挑戦するメンバーたちに、リーダーとして篠原さんがしたことは2つ。1つは、障がい者採用をする意義、目的を明確にすること、そしてもう1つは、彼女たちを信じ、業務を任せたことだ。
「仕事のノウハウそのものよりも大事なのが、その業務の意義や目的を明確に意識共有すること。障がい者採用は、応募者の強みや長所、才能が当社でどう生かせるのかを考えることが何よりも大切です。そしてそれは、当社が掲げる『人材マネジメント方針』の『人を大切にすること』(=多様性を認め、フェアネスを貫き、人を育てること)につながります。私たちの仕事は人の役に立つ、大変意義のあることなんだと何度も伝えました」