週末は朝7時から夜11時までファミレスにこもって勉強した

―― 日々の仕事だけでも相当激務だったはずですが、いったいいつ勉強していたのですか?

勝木 平日は早朝から深夜2時、3時まで働いて毎晩タクシーで帰宅するような毎日でしたから、勉強したのは週末です。朝7時にファミレスに行って、朝食、昼食、夕食を取って、夜11時くらいまで勉強する。これを約1年半続けました。

―― 奥様はそんな勝木さんを黙って応援してくれていたのですか?

勝木 もちろん喧嘩になったこともありますよ。「休日に子どもを遊びに連れていかない」とよく文句を言われました。

―― ご自身がそれだけ努力されていると、「好きなことをしなさい」というよりは「お父さんは頑張ってここまで来たんだから、おまえたちも努力してここまでおいで」と言いたくなるものなのではないですか?

勝木 それはないですね。「自分がこれだけやったから同じようにやれ」とは思いません。私が子どもたちに「好きなことをやれ」と言うのは、私があることをきっかけに、こんな仕事漬けの生活をしていたらダメだ、と気づかされたからです。

30代前半に仕事のストレスで、一時、左耳が聞こえなくなった

―― 何がきっかけだったのですか?

勝木 あれは確か32~33歳くらいのころでした。ある日、突然、片耳が聞こえなくなったんです。病院に行ったら、恐らく「ストレスに拠るものだと診断され、このまま働いていたら耳が聞こえなくなるから、すぐ入院するように言われました。耳が聞こえなくなるのは本当に怖かったのですぐ入院して、医師の言う通り、会社を休んで何もしない生活を始めました。本もテレビもダメなので、一日中クラシック音楽を聴くだけ。本当に何もすることがなく、楽しみは食事だけ。そんな日々を約1カ月続けました。

 聴力が戻ってきたころ、「今の君に必要だと思う」、と友人からジェームス・スキナーのセミナーを勧められました。アメリカ人の経営コンサルタントで、聞けば1回数十万~100万円もするとか。全然気乗りせず断りました。ところが「絶対に行ったほうがいい。もし気に入らなかったら、お金は出してあげるから」と、友人が僕に強く勧めてくれたのです。当日まで行かないつもりでしたが渋々参加したところ、その内容が最高で、ものすごく感動してしまったんです。