「わが子を世界に羽ばたく、グローバルリーダーに育てたい」。そんなパパ&ママの野望をよく耳にします。グローバルで通用する力をどう養えばいいのか。翻って、グローバルでご活躍中のビジネスエグゼクティブは子ども時代にどんな教育を受けてきたのか。リーダーの資質はどこで育まれたのか。親の成功体験は子どもにどんな影響を及ぼすものなのか。パパ&ママが気になる素朴な疑問を、日ごろ、エグゼクティブビジネスリーダーと接する機会の多い阪部哲也さんが、親代表として、二児のパパとして、先輩パパにインタビューしていきます。5人目のゲストは勝木龍さんです。

勝木龍さん

米ニューヨークを皮切りに十数年にわたり外資系企業に勤務、CIO(最高投資責任者)などを歴任。NHK『クローズアップ現代』などのテレビ出演、ロイターや日経新聞などへの投稿も多数。その傍ら、有名私立大学で6年間教鞭を執り、日・米・英3カ国の証券アナリスト資格も持つ。京都大学博士。“奇抜で超効率的な仕事術”で残業ゼロで成果を出すことに集中。また、独自のコミュニケーション/プレゼン術で、抜群の営業成績を残し、数多くの「有名外資系企業の英語での面接」にも合格。並行して、超短期で結果を出すことにこだわった実践型英会話教室「SmartEnglish®」を主催、中学生から80代までの数多くの門下生の英語習得をサポート。さらに、NHK番組『ニュースで英会話』の制作メンバーを歴任、語学教育の企業アルクのウェブサイトにも長年にわたりコンテンツを提供。また、本名を含めた3つのペンネームで書籍30冊以上(累計20万部超)を出版。息子(19歳)、娘(17歳)のパパ。

小5で英語の面白さに開眼。先生は「NHKラジオ講座」

阪部 金融業界専門の転職コンサルタントという私の職業柄、勝木さんがこれまで歩まれてきたキャリアヒストリーに非常に興味があります。まずは英語教育に関してお尋ねします。勝木さんは大手外資系および日系金融機関で長年の海外勤務経験をお持ちで、ネーティブ・スピーカーのトップエリートたちと互角に渡り合ってきたわけですが、学生時代には既に英検1級を取得したり、首都圏最大級英会話サークル「EC88」のリーディング・メンバーの一人として、英語字幕付き映画の鑑賞などを通じた映画英語の教育を担当したりと、英語に対する並々ならぬ情熱を感じます。英語の勉強はいつから始めたのですか?

勝木さん(以下、敬称略) 小学5年生のころです。私が住んでいたのは大阪と和歌山のちょうど県境で、四方は山ばかりの自然に恵まれた田舎でした。今では住宅街になってしまいましたが、あのころは今よりずっと空気も澄んでいました。よく田んぼにトンボを捕まえに行きましたし、家の裏庭には蛍がたくさん飛んでいましたしね。ある時期から友達がそろばん教室に通い始めたので「僕も行く」とそろばんを習い始めました。その友達が今度は英会話教室に通うとなって「僕も行こう」と続きました。友達といつも一緒にいたかったからです。ところが、その英会話教室はいつまで経っても「A、B、C……」の発音練習ばかりで3~4カ月経っても「I have a pen.」止まり。僕があまりにも退屈そうにしていたのを見かねた先生が「君はもう来なくていいよ。これで勉強したらいい」とNHKラジオの英語講座の教材をくれたんです。これが始まりです。

 そして、1冊120~150円くらいだったテキストをお小遣いでたくさん買い込みました。すると父が「勉強するなら全部買いなさい」と、テキストをすべて買い揃えてくれたんです。基礎英語から始めて、続基礎英語に進むうちにどんどん面白くなり、小学6年から中学3年まで、10の講座を通じて外国人の発音やリズムと一致するまで練習しました。

 「英語ができるようになれば、外国の人と話せるんだ」と思うだけですごくうれしかったし、ワクワクしました。おかげで英語はよくできるようになりました。中学校の英語の授業では教師の英語の間違いを指摘して「私のメンツを潰す気か」と怒られたこともあったくらいです。ですから中学・高校の英語の時間はほとんど他の教科の内職をしていました。授業よりもラジオを聞いているほうがはるかに楽しかったし、特別に受験勉強しなくても困らないレベルになっていたからです。

左が勝木さん、右が阪部さん
左が勝木さん、右が阪部さん