実質的な専門職に脱皮するための3つの柱

 いい加減、この問題に決着をつけたいと思ったのか、2012年8月の中央教育審議会答申にて、教員を高度専門職と位置付ける方針が明示されました。結構なことですが、今回のデータで見たように、実態は何ら変わっていません(悪化の兆しさえ見られます)。

 周囲からは「専門職」と煽られ、自分たちもそう思っている(思いたい)にもかかわらず、実際にはあたかも「何でも屋」のようなことをやらされる。このギャップが、教員の苦悩の源泉になっているのではないか。重要なのはそれを埋めること、すなわち教員を実質的に専門職へと脱皮させられるかです。

 1)待遇の改善、2)職務の範囲の明確化、3)自律性の付与、の3本柱が具体策かと思いますが、最後のものはなかなか難しい。大学教員のように、教える内容の自由まで認めてしまうわけにはいきませんが、教員としての力量を高める研修については、もっと自発的なものを尊重する余地はあるでしょう。

今のままで幅広い人間力のある教員は育つのか

 長期休暇中は、教員を完全に黒板とチョークの世界から解放し、職務とは無関係の「広い学び」をしてもらうのも悪くないと思うのですが、どうでしょうかねえ。上記の中教審答申は、教員に求められる資質として「幅広い人間力」が必要と指摘していますが、こういう資質は、上からの(押し付けの)研修だけで身につくものではありますまい。

 話が抽象的になりましたが、今の先生の「リアル」をお知りいただけたのではないかと思います。わが子を託している先生への見方・接し方が、幾分なりとも変わったという読者がおられるなら、この記事の狙いは達成されたことになります。