秋田の教員の給与は民間の1.2倍 東京はたったの7割

 2013年の文科省『学校教員統計』によると、公立学校の男性本務教員の平均月収は、小・中学校が35.1万円、高校が36.6万円となっています。諸手当は含まない本俸額です。同じく2013年の厚労省『賃金構造基本統計』によると、大卒の男性労働者の平均月収(所定内)は39.5万円。性別と学歴を揃えた比較ですが、教員のほうが少ないようです。

 教員の多くは公務員ですので、ボーナスも含めた年収額だと結果は変わるかもしれませんが、月収の比較だとこんな感じです。

 しかるに、様相は地域によって違うでしょう。私の郷里の鹿児島では、民間の給与が安いので、月収で見ても教員のほうが高いのではないかなあ。大都市の東京は、その反対であると思われます。試みに4つの都府県を取り出し、先ほどと同じ比較をすると表1のようになります。

 男性のデータですが、秋田では教員のほうが民間より高いではないですか。小学校教員が38.0万円、大卒労働者全体が31.4万円。前者は後者の1.2倍です。逆に東京は悲惨で、小学校教員の月収は民間の7割です。都会では、民間の給与水準が高いですからね。上記の4都府県の傾向から察するに、地方では「教員 > 民間」、都会ではその反対であるようです。

待遇が良い県は採用試験競争率が高い

 他の県(自分の県)はどうかな、という関心もおありでしょう。人数的に多い小学校教員の月収が、大卒労働者全体の何倍かという倍率を47都道府県別に計算し、高い順に並べた表を作ってみました。表2がそれです。

 ほう。宮崎の1.2倍から東京の0.7倍まで、幅広く分布しています。上位には地方県が多く、下位には都市県が多い。教員給与はどの県もほぼ同じですが、民間の給与の地域差が大きいためです。

 給与が民間の7割しかない東京や神奈川では、教員のフラストレーション(相対的剥奪感)は結構大きいかもしれません。対して秋田は民間の1.2倍。本県は子どもの学力がトップの県ですが、もしかすると、教員の待遇のよさが遠因であったりして……。

 上表の教員給与の対民間比は、小学校教員採用試験の競争率とプラスの相関関係にあります。競争率の規定要因としては、退職教員の量のような人口要因が大きいでしょうが、優秀な人材を学校に呼び込むには、教員の待遇改善を図ることが重要といえるかもしれません。