私と夫には、きっと一生忘れられない光景がある

 1歳2カ月だった息子が、仁王立ちになって両手をぎゅっと握りしめ、絶望の果てのように天井をにらんだままワーワーと泣いているのだ。私と夫のところまで10歩も歩けば到達し、私たちが抱きしめてあげられるのに、大人の腰の高さほどの保育壁に隔てられて、息子はその場から動くこともできずにただ泣き続けていた。

 保育園に預け始めて10日目のこと。普段なら、泣いていても私たちのところに駆け寄ってくる息子のこの姿を見て、私は帰りの自転車で涙が止まらなかった。

(日経DUAL特選シリーズ/2013年11月収録記事を再編集したものです。)

「保育園を見つけるのは大変ね」と言われてもピンと来なかった

 結婚後も連日、深夜残業を続け、バリバリ働き続けていた私(メディア関連)は、夫より帰りが遅くなることの方が多いくらいだった。そんな中で分かった突然の妊娠。タクシー1メーターでおいしい店に飲みに行ける都心の暮らしを離れ、私たちは、緑が多く、子どもに優しい区に引っ越し、自然派の産院も見つけ、それまでとは180度違う新たな生活を楽しもうとしていた。

 2011年1月に産まれた慶太(仮名)のお祝いに来てくれた先輩ママからは「早生まれだから、保育園を見つけるのは大変だね」と言われたものの、周りに早生まれの人がいなかったのでピンと来なかった。「そうですね。でも早めに保育園探しを始めるし、どこかには入れるでしょう」と何気なく言葉を返した。

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