認可園に移ってから気づいた認証園との大きな違い

 谷本さんの場合、娘が2歳になった4月にできた新設の認可園Cに入園が決まった。これから就学まで徒歩10分の距離の園に通えることを考えると、入園はすぐ決断できたという。しかし、その認可園Cに入ってから、前に通っていた認証園Bの良さに改めて気づくことも多いという。

 「いまさらだと思いますが、先生って本当に大事なんだなと実感しました。保活をしているときは、園庭や施設、書いてある方針などが気になりましたが、通わせてみると園庭が無くてもお散歩に毎日連れて行ってくれていればいいんですよね。それよりは、子どもに関わる人がどういう人なのか、どう接するのかということが、子どもに大きく影響することに気づきました。

 保活をしているときは、認可園に入れるものだという思いがあって見学していたので、園庭が無かったり、施設が狭かったりする認証園などを見ると、それが“足りない”といった見方をしていました。バギーで通えない園は、無理だと決めつけてしまっていたり。でも、もっと大切なことがあったんだと、複数の園に通わせたことでやっと分かりました」

 認可園Cは、新設ということもあって若い先生も多く、朝夕の送迎でもバタバタしている様子が手に取るように明白だった。迎えに行くと、娘が鼻水が乾いたままのような顔をしていることもあって、きちんと見てもらえているのか不安になることもあった。

 「前の園では、お迎えの前に『きれいな顔でお母さんに会いましょうね』とお迎えの時間になると顔を拭いたりコートを着せてくれたり、身支度してくれていたんですよね。そういった姿を一年見ていたので、認可園で迎えに行った子どもの姿にちょっと驚いたんです。

 それに、認証園Bでは3カ月で朝も泣きやんで保育園に慣れたのに、認可園Cでは半年経っても尋常じゃない泣き方を続けていて心配でした」

 新しい園でなかなか体制が整っていないことが、子どもにも影響が出ていたのだろうと谷本さんは想像する。2年近く経った今では、子どももだいぶ落ち着いて、お友達と笑顔で通えるようになった。

認可園に入れなくても、まずは落ち着いて情報収集を

 同じように認可園に落ちてしまったママやパパへのアドバイスを聞いてみた。

 「これまで見学に行ったことのある認証園や認可外園に、改めて連絡して空きがあるか聞くこと。また、周囲のママ友などに相談して、『空き情報あったら教えてね』とお願いしておくことも大事です。私は、ママ達の情報に助けられました。

 それと、距離や施設などこれまでより条件を広げて探し直すのも大事だと思います。私のように近隣の自治体でいい園が空いていることもありますから」

 住んでいるエリアから少し地域を広げて探してみることで、選択肢も広がりそうだ。そして、候補に挙がってきた園は、足をしっかり運んで保育の様子や園の雰囲気を見学しておくことも重要。復帰までのタイムリミットが迫って気分が焦っていても、「どこでもいい」と諦めず、できるだけ自分の目で見て納得できる園を見つけたい。

(ライター/岩辺みどり イメージカット/鈴木愛子)

日経DUALのムック
これ一冊で保活がわかる!
「保育園に入りたい!2017年版」(税込1200円)

●日経BP書店で購入する ●Amazonで購入する