2016年4月時点での待機児童数を都内の自治体で見てみると、例えば世田谷区は1198人でダントツの多さ。一方、大田区は229人で世田谷区の2割程度しかいない。これだけ見ると、「大田区は世田谷区より5倍も入園しやすそうだな」と思ってしまっても仕方がない。
しかし、待機児童数だけを見ていても本当に入園しやすいかどうかは分からない。なぜなら世田谷区は「育休延長者」も待機児童にカウントしているからだ(この正直なカウント方式は都市部では珍しい)。区長を筆頭に、真摯に待機児童対策を行っているあらわれだろう。
実際に「0歳児クラスに入園できた赤ちゃんの人数」を調べた
現在の厚生労働省が定義している待機児童数では、自治体ごとにルールが違うので入園のしやすさという意味で不明瞭というのは前回の記事で説明した。そこで日経DUALは、全国147自治体の「実際に0歳児クラスに入園できた赤ちゃんの人数」を調べてみた。
まずはさきほどの2自治体で比べてみよう。2016年4月時点で、0歳児クラスに入所できた人数は、
■0歳児クラスの入園数
世田谷区 | 974人 |
大田区 | 752人 |
※「認可保育所」「認定こども園(幼保連携・保育所型)」「小規模認可保育所」「家庭的保育(保育ママ)」「事業所内保育(地域枠)」の0歳児クラスの入園児童数の合計
である。さらに0歳児クラスへ入園を希望した申請数は
■0歳児クラスの申請数
世田谷区 | 1695人 |
大田区 | 1307人 |
だった。ここで、【入園できた人数÷希望した申請人数】を計算すると、実際に認可園に入れた「0歳児クラスの入園率」が分かる。
世田谷区と大田区の認可園への「入園しやすさ」は実は同じだった!
■0歳児クラスの入園率
世田谷区 | 974 | 1695 | 0.575 |
大田区 | 752 | 1307 | 0.575 |
つまり、待機児童数では5倍もの差があった世田谷区と大田区が、実は「入園しやすさ」では同じことが判明する。
このように、自治体ごとのローカルルールにより実態が分からない待機児童より、実際の入園率を都内上位45自治体を次のページでまとめてみた。