「本当に?」の次は、「なぜ?」と「どうしたい?」

(2) 「なぜ?」

 トヨタのカイゼンで有名な「なぜを5回繰り返す」という教えがある。

 英語の小テストで毎回合格点が取れない、というデータを基に「無理!」という生徒に向き合い「なぜ?」をぶつけてみよう。

 「なぜ小テストで点が取れないんだろう?」
 「覚えられへんねん」
 「なぜ覚えられないんだろう?」
 「部活で忙しいし時間がない」

 ここで「時間がない」という発言に対し(1)の「本当に?」の質問に戻る。1週間の過ごし方を15分刻みの表で聞き取りながら埋めていく。

 「このお風呂の前の1時間って何の時間?」
 「ゲームとかテレビかな……」
 「なぜこの時間に覚えられへんのやろう?」
 「だって覚えるってめっちゃ時間かかるやん」

 ここでまた(1)の「なぜ?」に戻る。

 「よし、じゃあ毎回の単語テストの範囲は10個やから、どれだけ時間がかかるか今からやってみよう」

 そこでかかる時間のデータを取ると同時に、覚え方が効率的かどうかも観察する。30分で合格点が取れたら、あとはスケジュールのどこかに30分を設定し、暗記の仕方のアドバイスをする。

 「無理!」と言って思考停止していた状態からスタートして、「覚えられない」→「時間がない」と「なぜ?」の繰り返しで問題を砕いていく。

(3) 「どうしたい?」

 「本当に?」「なぜ?」という問いを繰り返すと、課題が小さくなり解決策もいくつか出てくる。最後は「どうしたい?」と問いかけて意志を言語化する。英語ができないままの自分でいたいか、1日30分のトライを重ねてみるか。部活で疲れて夜が嫌なら、朝に勉強時間を取るか。土日に集中するか。

 仕事でも同じだ。給与をもらう以上、逃れられない義務がある。

 相手を変えることも難しい。変えるなら、自分がどうしたいかを問い直すことだ。