男性にも女性にも幅広い選択肢が開かれることが重要

羽生 治部さん自身が理想と考えるワーク・ライフ・バランスはどういうものですか?

治部 男性にも女性にも、幅広い選択肢が開かれるということが重要だと思います。人生は長く、アクセルを踏みたい時もあれば、ブレーキを踏まざるを得ない時もある。個々人がベストと思えるタイミングで、中長期で人生設計をできる社会を目指せば、自然とダイバーシティは進むと思います。

 私自身は子ども二人を産んだ時にどちらも0歳児のうちに仕事復帰しましたが、それは保育園入園対策をしなければならなかったからです。それまでのキャリアを継続するには、保育園に入る必要があり、そのためには入りやすい0歳児で戦略的に復帰をするしか選択肢がなかったというだけで、誰にでもすすめられる経験ではありません。働き方と育て方を、もっと自分の意志で選べるように社会を変えていきたいですね。

 保育園ももっと多様な理由で利用できるように。専業ママが「ちょっと育児に疲れたから」という理由でも気軽に一時利用できるくらい自由度を高める施策が求められていると思います。

羽生 これから力を入れていきたいテーマや活動はありますか?

治部 これまでと同じように取材活動をしつつ、昨年発足した「ニッポン教育応援団」の活動にも力を入れていきたいと思っています。仕事と育児の両立や保育園問題など様々な問題が叫ばれていますが、要は対策をとるための財布が小さすぎるんです。

 質の高い保育・教育を受けられる子どもの居場所が増えていけば、安心して働きに出られる女性はどんどん増えるはず。110兆円ある社会保障費のうちたった5%しか子どもに使われていないという現状を打破するため、私ができることをやっていきたいと思います。

羽生 期待していますし、DUALでもぜひ発信していってください。ありがとうございました。

(取材・文/宮本恵理子 写真/山出高士)