出産後の生活や職場復帰後の仕事のスケジュールを考えるとき、忘れてはならないのが子どもの予防接種です。生後2カ月から始まり、特に0歳のときでは毎月のように受ける必要があって「正直、面倒」と思う人も多いでしょう。しかし、最愛のわが子を守るためには知っておきたい実態や知識があります。今回は、予防接種のメリットや副作用について、ワクチンに対応している子どもの病気と発症実態についてお届けします。

【妊娠・職場復帰のママ・パパ/病気・ストレス・体】
(1)どうする?子どもの予防接種 知っておくべき基礎知識
(2)病気からわが子を守る 予防接種最新情報 ←今回はココ
(3)育休明け家庭が新生活でぶつかる疲労・ストレスと対策
(4)復帰前に始めたい生活リズムづくりと夫婦の役割分担

  子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

コンサート会場や災害時の避難所で感染拡大⁈

 2016年8月、はしか(麻疹)に感染した男性が、千葉の幕張メッセで行われた、人気歌手ジャスティン・ビーバーのコンサートを観覧し、他の観客に感染が拡大する恐れがあるというニュースが報道されました。

 はしかのウイルスは感染力がとても強く、空気感染するため、コンサート会場などで、免疫がない人が感染者と同じ空間にいるだけでも感染する可能性があります。「はしかだけでなく、結核、水ぼうそうも空気感染します。地震国の日本では、大地震の備えとしても予防接種は欠かせません

 熊本地震の際にも「世界の医療団日本」の医療ボランティアとして現地へ入った、小児科医の早川依里子さん(伊奈病院)はそう話します。地震などの災害時に、様々な人が集まる避難所でこれらの感染症が出ると、流行を止めるのはかなり難しいといいます。

 「例えば水ぼうそうは、感染から発症までの間が数週間あり、避難所で患者を隔離するのは現実的に難しい。免疫のない人がいれば、あっという間に拡大する可能性があります

 しかし、あらかじめワクチンを接種している人が多ければ、流行を予防することは可能です。結核はBCG、水ぼうそうは水痘というワクチンがあります。水痘は2014年10月から定期接種化(2回)されたばかりです。

 「予防接種のメリットは、大きく分けて2つあります。1つは接種する個人のメリット、もう1つは社会全体のメリットです」

<次ページからの内容>
・ワクチンの副反応よりも、接種しなかったときのリスクが怖い
・ヒブと肺炎球菌が定期化された理由
・下痢嘔吐だけでないロタウイルス
・ワクチンで防げる14の病気の一覧。解説と発症数