ぶつかりながら、自分で折り合いをつける方法を学んでいく

 反抗期の最初の大波は、女の子の場合は早ければ小学5年生くらいに来ます。男子はまだまだよ(笑)。女の子のこの最初の反抗期に戸惑うお母さんは多いです。というのも、それまでは自分の言うことを素直に何でも受け入れてくれていた娘が、「お母さんが言う通りにしていたらこんなふうになっちゃったからイヤだ」と言い出すわけです。

 中学時代に入ってもやはり反抗期はあるのだけれど、そのときにはお母さんのほうももう学習しているから「深追いはよそう」と少し余裕が出てくるのね。

 でも、反抗期はすなわち自我の芽生えですよね。「こう言われてきたけど、本当にそうなの?」とか「私はこうやってみたい」といった自我が芽生え、それでぶつかるわけですから、やはり大事なことだと思います。自分で何も考えないまま大人になってしまったら、社会に出て一番困るのは子ども自身ですものね。

 これまで幼稚園生から大学生まで見守ってきましたけれど、一番中学生がきれいだと思っています、心が。ガラスみたいにきれい

 小さいときには深く考えずにお母さんに「正しい」と言われたことを素直にやってきて、中学生になると「それって本当は正しくないんじゃないか」って一つひとつぶつかっていくわけです。大人なら、「まあそういうこともあるからね」と収めるところを、子どもたちは「それってよくないんじゃないか」ってぶつかるんですよ。

 だから、言っていることはきれいです。その通りにいったら本当にいいのにね、と思います。正義感も強いしね、それで誰かに殴られなきゃいいんだけどって心配してしまうくらい。だけど、ぶつかったところで結局はうまくいかないし、ぶつかり合うだけで何も生み出さないって分かれば、そのうちに自分で折り合いをつける方法を学んでいきます。そこまでトゲトゲしなくてもいいんだなと分かっていく。

 反抗期を経て、色々なことに折り合いをつける方法を学んで、生きることに少しずつ上手になっていくんですよね。

子どもたちによるクッキー。無邪気な表情がかわいい
子どもたちによるクッキー。無邪気な表情がかわいい

(構成/山田美紀)