「これって本当に子どもにとってのいい環境につながるんだっけ?」
羽生編集長(以下、羽生) 雨宮さんは保育士として6年働いた経験を活かして、遊びの情報サイト「ほいくる」を立ち上げられ、「保育」について考えるきっかけを世の中に発信していますよね。今日は大井町にあるオフィスに伺いましたが、こちらは子どもたちに開放する時もあるそうですね。
雨宮さん(以下、敬称略) 「コドモガラクタラボ」というイベントを月2回開催して、子どもたちの遊び場として開放しています。身近な素材を使った工作遊びを企画しています。おうちでは「ダメ!」と言われちゃうことも、「やっちゃっていいよ」と言って楽しんでもらうんです。
羽生 へぇ~、いいですね。
雨宮 保育士や子育てに関わる人たちに向けて遊びの情報を発信する立場として、私たち自身も子どもたちの遊びに密接に関われる機会を作らないといけないという意識から始めたんです。「子どもの世界」にどっぷり浸かれる時間を大切にしたいと思って。
羽生 雨宮さんは若くして起業されて「保育」について社会で考える機会を広げられてきた功労者だと思っているのですが、起業した後にモチベーションを持続させていく上で一番大切なのは、きっと「社会のために役立ちたい」という“義”の部分。それがないと続きませんよね。まさに雨宮さんの起業の形は、社会貢献をコアに据えたものだという印象があります。かつ、私がすごいなと感じるのは、雨宮さんが大きなビジョンを持ちつつも、本当に具体的な小さな仕事を大切にされている点。子どもたちと一緒に作ったストローでできた作品をここに飾っている行動一つからも、その気持ちが見て取れます。
雨宮 ありがとうございます。
羽生 起業されてもう7期目と伺いましたが、思い描いたビジョンを実現していくため特に心がけてきたことはありますか?
雨宮 もともと私の起業の出発点は、「大きな会社を作りたい」といったものではなくて、保育士として働いた経験で気づいた課題、「私たち保育士がもっとゆとりを持って子どもたちと向き合わなければいけない。そのための環境が必要」というものだったので、そこはずっと守ってきたという思いはあります。もちろん、会社としての成長も大事ですが、何か新しいことを始める時には必ず「これって本当に子どもにとってのいい環境につながるんだっけ?」と問うようにしています。その根っこがぶれなければ判断が間違うこともないと思っているんです。