副作用が怖いというイメージだけでステロイドを避けていませんか?

 「知ろう小児医療 守ろう子供達の会」では、年5回ほど、子育てに関するメッセ(子育て支援活動をしている団体や行政等が一堂に会し、子育て中のパパママに情報や体験を提供)に出展し、子どもの病気に関するリーフレットを参加者に配っています。そのなかで、ステロイドを怖がる親御さんとお話しする機会が時々あります。

 「どうして怖いのですか?」とお聞きすると、「名前のイメージで」「何となく…」「一度使うとやめられなくなると聞くから…」と、明確な理由は見られません。ステロイドを使って、過去に何か悪いことが起きたという方には、今のところお会いしたことがありません。

 通常の小児科を受診すれば、必要な場面でステロイドが処方され、きちんと説明があり、患者も理解して使用することで、症状が改善されてステロイドが必要なくなる、という道筋をたどる方がほとんどかと思います。

 しかし、受診した病院が、たまたまステロイドを避ける医療機関(ごくわずかですが存在します……)だったりすると、とてもひどい状態になってしまうことがあります。

 原医師はこう続けます。

 「ステロイドを避けたいと考える方は、『使っていると次第に効果がなくなり、さらに強いステロイドでなければ効かなくなる』『皮膚の萎縮などの強い副作用がある』『やめるとリバウンドがありかえって悪くなる』といったことを理由にされる方が多く見受けられます。これらの一部は正しく、一部は誤解です。非常に難しい問題です。

 ご存じのとおり、そもそも副作用のない薬はありません。しかし副作用をできるだけ少なくする使い方を目指すことも、処方する医師と、(用法・用量をきちんと守るという意味で)処方された患者双方の大切な役割です。『副作用があるから使わない』というのは正解ではないのではないでしょうか。

 ステロイドは弱いものを長期間処方するよりも、むしろ強めのもので短期間に効果を得て、徐々にレベルダウンしていくと結果的に使用量が少なく済みます。やめるとリバウンドがあるというのは完全なウソではありませんが、だからこそリバウンドの出ないよう、徐々にレベルダウンしながら使うのがよいでしょう」

 ステロイドを怖がって使わなければ、「副作用」というリスクは避けられる代わりに効果も得られず、むしろ二次的なリスクが生じることもあると原医師は指摘します。

 「このときの赤ちゃんの場合、頬に強い炎症があるままにしておくことで、皮膚のバリア機能が失われ、二次的なアレルギーが起こりやすくなります」