人生100年時代と言われますが、長い人生になる分、お金や心の準備をしておく必要がありそうです。では、定年を迎えるまでの数十年間で、具体的にどんなことをしておいたらよいのでしょうか。先日、日経DUAL主催のセミナー「人生100年時代 お金の準備は大丈夫?」が、大和証券本社で行なわれました。定年までの心構えや知っておくべき知識、必要な準備など、これからのお金に関するヒントが満載。そんなセミナーレポートをお届けします。

 最初にファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんによる「人生100年時代 お金の準備、心の準備は大丈夫?」の講演が行なわれました。

■人生100年時代に備えるライフプラン

 人生100年時代とは言いますが、本当に100歳まで考える必要があるのでしょうか。厚生労働省の簡易生命表(2016年)によると、女性の4人に1人が95歳まで、男性の4人に1人が90歳まで生存していることがわかります。

老後資金は100歳まで考える時代(厚生労働省:2016年簡易生命表の概況より)
老後資金は100歳まで考える時代(厚生労働省:2016年簡易生命表の概況より)

 長生きをするようになると、人生の中で働かない期間の割合が長くなります。お金のバランスが崩れることに要注意。では、高齢者夫婦世帯の収支はどうなっているのでしょうか。

高齢者夫婦世帯の収支は
高齢者夫婦世帯の収支は

 年金として月に20数万円もらい、使っているお金は23万円ほど。非消費支出の約3万円は、健康保険料や介護保険料、税金などが含まれます。

「つまり、毎月5万5000円ほどを貯蓄から取り崩していることになります。ただし、住宅ローンを返し終わり、子どもが独立しているという前提です。その前提であれば、月に5~6万円程度稼ぐことができれば、貯蓄を取り崩す時間を少し伸ばすことができるわけです(※講師試算)」(井戸さん、以下同)

さらに、医療費や介護費の目安は、一人800万円程度。

「平均寿命は延びていますが、健康寿命はあまり延びていません。一般的な介護の期間やかかる費用、もらえるお金などを計算してみると、家で介護をする場合は一人800万円程度あれば安心かと思います(※講師試算)。

 国の方針として、介護は自宅か自宅の近くでできるだけ完結する方向で進んでいますが、有料老人ホームなどの施設や病院に入る場合はもっとお金がかかるので、準備しておく必要があります」