長い人生には、教育費、住宅費、老後資金などまとまったお金が必要なイベントがいくつもあります。こうしたお金を短期間で用意するのは難しく、時間をかけて準備しなければなりません。ただ今の日本は金利が低い状態が長く続き、預金だけではお金を増やせなくなっていますから、預金以外の金融商品への投資も検討する必要があります。

預金以外の金融商品の代表例といえるのが、株と投資信託です。「どちらも利用したことがない」という人も多いと思いますが、国が株や投資信託への投資を促すためにNISA制度を設けたことで利用しやすくなっており、今が投資デビューの好機といえます。まずは株と投資信託の基本を押さえることからスタートしましょう。

株は売買だけでなく、保有している間も利益が得られる?

 株で利益が得られるのは、「安いときに買い、高くなってから売ったとき」というのは、多くの人がイメージできるでしょう。それだけシンプルな仕組みで、投資が未経験の人にもわかりやすい商品かもしれません。どの株をいつ買っていつ売るかという判断は投資家が行ない、タイミングよく売買できれば、大きな利益を得ることも可能です。しかし、売買タイミングによっては損失を被る可能性もあります。

 株の利益には、こうした売買による利益のほかに、株を買って保有しているだけで得られる利益もあります。その一つが配当で、株を発行している会社が利益の一部を株主(株を買って保有している人)に年1回または2回配分するものです。もう一つが株主優待で、こちらは発行会社が株主に年1回か2回、自社製品の詰め合わせや優待利用券などを贈る仕組みのことです。個人投資家が売買できる株は3,700ほどありますが、そのうちの約37%の発行会社が株主優待制度を設けています(出典:大和インベスター・リレーションズ『株主優待ガイド2018年版』・2017年9月末現在)。

※配当・株主優待を行なわない会社や、変更・中止する会社等もあります。詳細は企業ごとにご確認ください。

株は証券取引所で売買されていて、株を「買う」「売る」という注文は、証券会社に取り次いでもらいます。株の最低購入額は銘柄によって差があり、10万円以下で買えるものから100万円以上ないと買えないものもあります。とはいえ、多くの発行会社が売買単位の変更や株式分割などを行なって購入額を下げたこともあり、以前と比べると個人投資家でも買いやすくなっています。

投資信託は分散投資によって、安定した資産運用を目指す

投資信託は“ファンド”という仕組みを通して、投資先である株や債券などに間接的に投資するもので、投資家は各ファンドの運用担当の専門家に運用を任せることになります。

投資信託の投資先は、日本の株以外に、日本の債券や不動産、海外の株、債券、不動産など多様ですが、これらの中には異なる値動きをすると考えられるものもあります(一般的に株式と債券の値動きは違うと考えられている、海外の資産の場合為替に影響される、など)。このような値動きが違う投資先をうまく組み合わせて世界中の資産に幅広く分散投資することで、資産全体の値動きを小さくし、安定した資産運用を目指すことができます。特に1本のファンドで投資先を日本の株や債券、海外の株や債券などに分散させ、バランスよく運用することを目指すものは「バランス型ファンド」と呼ばれます。

「資産全体の値動きを小さく」できるのは、ファンドが複数の投資先に投資することで個々の値上がり・値下がりが平均化され、ファンドの値動きが小さくなるからです。個別の株や債券などに投資したときより、値下がりのリスクは小さくなると期待できる一方、大きく値上がりする可能性も低くなるといえます。このため一般的に、投資信託は短期的な値上がりを狙うものではなく、時間をかけて資産を増やしたい場合に向いているといえるでしょう。

※組入れる資産のタイプによっては値動きが大きくなる場合もあります。

投資信託を扱っているのは主に証券会社や銀行などで、店頭や電話での取引、ネット取引などを利用して購入できます。今は、1,000円程度と少額から購入できる投資信託もあります。また、毎月1,000円ずつ積み立てていく積立投資を利用すると、コツコツと資産を増やすことが期待できるのです。