「お菓子買って!」「ゲームが欲しい!」と、際限ない子どもの欲求。どこまで与えるべきなのか、悩んだことはありませんか?子どもに関する出費のうち、大きなものでは教育費や生活費があり、小さなものでは日々のおやつやお小遣いなどがあります。家計は無尽蔵ではないので、計画的に使っていかなければなりませんよね。また、子どもはいずれ親の手元を離れ、社会に出ていきます。独り立ちしたときに、上手にお金と付き合えるようにしておきたいものです。今回は「子どもとお金」について、子育ち支援士の田宮由美先生に伺いました。

“買い与え”で注意すべき問題点とは?

 スーパーやおもちゃ屋さんで「買って~!」とおねだりする子どもは、古今東西よく見られる姿です。誰でも重々わかっていることですが、全ての要求を受け止めていたら、大出費になってしまいます。

 しかしそれだけでなく、実は子どもの育ち方にも“悪影響”が出る可能性があると、田宮さんは言います。
 「なんでも買い与えてしまうと、欲しい物を我慢する力が身につかないだけでなく、物への執着がエスカレートしていくのです。次第に買ってもらった時の満足感や喜びの効果が薄れ、持続性もなくなってしまいます。いつでもなんでも買うのではなく、クリスマスやお誕生日などのイベントに買ってあげる約束をするとよいでしょう。そうすることによって、子どもの我慢する力も養われ、買ってもらった物への喜びも倍増するはずです」

 また、買い与えすぎによる悪影響は大人に成長してからも見られます。「持っている物で人の価値を判断するようになったり、過剰に借金してまで物を手に入れようとしたりすることもあります」

 また、子どもだけでなく、買い与えている親自身にも影響があるのだそう。「親が、物を買い与えることで問題を解決しようとしたり、子どもへの愛情を物で代償したりしていることもあります。

 わが子に対し、『こんなにも買ってあげているのに』という気持ちが生じ、イライラしたり失望したりするなど、子どもに対してマイナス方向への関わりになる可能性もあります」

 無意識の間にこのような状態に陥るのは怖いですね。物を買い与えがちな方は、今一度行動を振り返ってみましょう。

子育てにかかるお金、どこまでが必要?どこからが不必要?

 特に子どもの教育に関しては、できる限りのことをしてあげたいと思うのが親心。だからこそ、どこまでがかけるべきお金で、どこからが削れるのか、その判断がとても難しいものです。

 「各ご家庭、その子どもによっても異なるでしょう。例えば、野球のクラブチームに所属していればユニフォームやシューズなども必要ですが、友達と遊ぶだけならグローブとボールで充分ですね。要はそのモノの使い方に、明確な目的があるのなら必要と考えればよいでしょう」

 しかし、長い子育て中には、“明確な目的があり必要性もあるが、出費がかさみ、家計や貯蓄計画に影響が出る”こともないわけではありません。そんな時は、とても迷ってしまいますね。一体どうすれば良いのでしょうか?

 「まずは家族で話し合いましょう。子どもに、家計の事情を話してもよいと思います。ただし、一概に『お金がない』と言うのではなく、『今はこんな状況だから、何か我慢して欲しい』と親の気持ちを伝え、子どもの意見にも十分耳を傾けましょう。そして我慢させるだけでなく、そのフォローも忘れないでください。例えば遊園地に行くことを中止すれば、ママと近所の公園で遊ぶとか、習い事を減らしたら、休日、パパが一緒にサッカーをするなど、フォロー案も出してあげましょう」

「お金の教育」と「お小遣い」のコツと注意点

 子どもに“お金の関わり”を教えることは、普段の生活で自然に取り入れることができます。特に、スーパーでの買い物はその絶好のチャンスです。

 「お金を支払わないと物を買えないということをまずは教えてあげましょう。次に、使えるお金には限りがある事を教えるため、買い物をしながら『今日はこっちの安いお魚にしましょう』『今日は○○円しか持っていないから、おやつは我慢してね。今度買ってあげるね』などと話すといいですね」

 ステップが上がり「お小遣い」をあげるようになると、親の目が行き届かない部分も増えてくるもの。「仕事に家事に忙しくて、お小遣いの使い方まで細かく見てあげられない」という不安もあるかもしれません。しかし、ポイントをおさえていれば、心配しすぎる必要はなさそうです。