貯まらない最大の原因は、“相手に知られたくないから聞かない”

 共働きで収入はそれなりにあるのに貯まらない……。まず、その原因を考えてみましょう。

 結婚すると下図のように夫婦で管理する“生活費口座”を作り、そこへお互いに生活費を入れて残りはそれぞれが管理する、というケースが多くみられます。深田さんは、これが貯まらない原因だと言います。

出典『共働き夫婦の「お金の教科書」~やらないと絶対にソンをする「貯め方」「使い方」のルール』(著・深田晶恵)
出典『共働き夫婦の「お金の教科書」~やらないと絶対にソンをする「貯め方」「使い方」のルール』(著・深田晶恵)

 「生活にかかるお金を分担した残りのお金は、それぞれが自由に使うことができます。生活費以外についてはお互いに関与しませんから、貯蓄額もわかりません。最大の問題は、自分のお金の使い道をパートナーに干渉されたくないから、お金の話はしないということです」。

 最近では結婚生活をスタートするとき、お互いに貯蓄額を言わない、年収もオープンにしない夫婦が増えていると言います。

 「マイホームの購入か子どもの誕生で将来の教育費に不安を感じ、初めてお互いの貯蓄額をオープンにして、がく然としたというケースをよく聞きます。根拠はないのですが、自分は貯めていなくても相手は貯めていると思い込んでいるのです」と深田さん。

収入はあくまで、それぞれのもの。「夫婦のお金」は存在しない

 では、どのようにお金を管理したら、手間がかからず貯められる家計になるのでしょう。

 「まず“夫婦のお金”は、仕組み上ないものと考えてください。銀行口座の名義は1口座につきひとりで、夫婦連名で作ることはできません。意識の上ではふたりのお金でも税務上は口座名義人のお金ですから、マイホーム購入の頭金として使うときなどは面倒なことになります。将来のために使うお金は、夫婦それぞれで貯めるのが原則です」。

 そこで、深田さんが提案するのが下記の仕組み。毎月の“積立額”と“担当する生活費”だけを決めておき、残りはそれぞれが自由に使えるというものです。

出典『共働き夫婦の「お金の教科書」~やらないと絶対にソンをする「貯め方」「使い方」のルール』(著・深田晶恵)
出典『共働き夫婦の「お金の教科書」~やらないと絶対にソンをする「貯め方」「使い方」のルール』(著・深田晶恵)

 「共働きは時間がありませんから、目的別に銀行口座を分けるといった面倒なことをしていたら続きません。毎月の収支は、給料の振込口座で完結するようにしておくといいでしょう。しかし、支出には税金や保険料、冠婚葬祭費、旅行費用など、年に数回や不定期に出ていくお金があります。これらへの備えをしておかないと、せっかく積み立てたお金に手を付けることになり、貯蓄が増えない原因になります」。