うまいという尺度じゃない。一つひとつの作品を生きた言葉で褒める
全員の作品が一覧できるように壁に掛けられました。一つとして同じ絵はありません。それぞれが個性的で、輝きを放った素敵な作品を前に、さあ「鑑賞会」の始まりです。
一人ひとりの作品を木野内さんが丁寧にコメントしていきます。
「『沈まぬ太陽』と思わずタイトルをつけたくなるようなダイナミックで力強い作品です。線の独特な動きが素晴らしい」
「ラテン系のパッションを感じさせる色選びの面白さ。スクラッチで浮かび上がったエスニックな渦巻きが何とも明るくて楽しい作品です」
「まるでサーカスのような作品です。画面から音楽が聞こえてくるようで、インテリアとして飾っておきたいですね」
「日本画的な渋さを漂わせた作品です。青の線が最高にいい味を出しています」
「がっつり描きたくなるのを抑えて、白い余白を残しましたよね。素晴らしい。これが個性なんですよ!」
「非常に熱心な意図を感じさせる作品です。黒のタイルをスクラッチして浮かび上がるドラマチックな色の展開。楽しんでいる過程が伝わってくるような深い作品に仕上がっていますね」
「春の若草のような優しく爽やか。ピンクのオイルパステルの「かす」が、ぼこぼこと盛り上がっていて可愛らしく、紋白蝶が飛んできそうな作品です」
心憎い褒め言葉が続きます。うまいかどうかという尺度ではなく、誰もが「なるほどなー」と感心させられる、心に響く生きた言葉の数々です。作品を褒められたときの、皆さんの満足そうな表情が印象的でした。はにかみながらも、まるで“いたずらっ子”のような表情を浮かべ、自分の番になるとドヤ顔をして笑い合っているのです。