自由な存在なはずの子どもたちも、意外とストレスを抱えている

臨床美術の作品例
臨床美術の作品例

―― それは大人が楽しめることの証しですよね。臨床美術は近年、高齢者だけでなく、子どもたちの感性教育としても注目されていると聞きましたが、どんな反応がありますか?

木野内 臨床美術を体験するお子さんを見て、「うちの子がこれだけ集中しているのを初めて見ました」とおっしゃる親御さんは多いです。

 子どもはもともと自由な存在であるはずなのに、学校などで集団生活を学ぶ中で「空気を読む」ことがよしとされ、知らず知らずのうちに「ありのまま」の存在から遠ざかってしまっているのです。周りと同じようにふるまうことを望まれて、「自由に絵を描いて」と言われるとちゅうちょしてしまう子も多いです。

 ビジネスマンもそうでしょう。今はIT化が進み、多くの会社員が情報をインプットし続ける役割を負わされます。その反面、アウトプットの機会はなかなか与えられていません。また分業でビジネスが成り立つ会社組織ではゼロから全部自力で仕上げるというチャンスも少ない。

 その点、臨床美術では最初から最後まで自分の表現としてアウトプットできるので、一種の“解毒作業”にもなると言えます。

仕上げた作品を褒め合うことも重要

木野内 さらに臨床美術のプロセスでは、仕上げた作品をみんなで一つひとつ見て言葉で褒める鑑賞会を必ず行います。これが非常に重要なんです。決して「うまいね」とか「上手だね」という言葉を使わずに、具体的に良いところを褒めて直感で伝え合うことで「みんな違ってみんないい」ということを心から実感でき、他者の違いをリスペクトできるようになります。それと同時に自分に対する肯定感も高まります。多様性と言葉で言うのは簡単ですが、身をもって感じることは難しいですよね。でも、臨床美術を通じてなら楽しみながら実感できるんです。

―― 臨床美術を取り入れることで、組織間のコミュニケーションを活性化することも期待できるでしょうか?

木野内 はい、会社の研修で臨床美術をやってほしいというリクエストをいただくことも増えてきました。

―― 百聞は一見にしかず、ということでぜひ体験してみたいのですが。

木野内 ご要望があれば、喜んで、どこへでも伺いますよ。

* 次回は木野内さんを講師とした、臨床美術ワークショップの体験ルポをお送りします。

この記事の関連URL
「脳がめざめるお絵かきプログラムシリーズ」 
http://www.felissimo.co.jp/program/wk45838/?iid=p_prg_160128_HED12
「脳がめざめるお絵かきプログラム 色えんぴつ編」 http://www.felissimo.co.jp/program/wk45838/gcd256775/
神戸でのワークショップの予定 http://info.felissimo.co.jp/program/blog/entry/2016122017.html

(ライター/砂塚美穂、撮影/鈴木愛子)