今の働き方になったのは80年代以降

こうした電動の乗り物に保育園児たちを乗せて公園に。小さな子がいっぱい乗っているのでとてもほほえましい
こうした電動の乗り物に保育園児たちを乗せて公園に。小さな子がいっぱい乗っているのでとてもほほえましい

 オランダの働き方は、今ではすっかり世界でも理想とされる形になっているようです。しかし、伝統的にそうだったのか?というと、実はそうでもないようです。この点も、アレックスさんに聞いてみました。

 「他ヨーロッパ諸国に比べてオランダの女性は、比較的最近(1980年代)まで、働きに出る必要にそれほど迫られることがなく、また、キリスト教をベースとする考え方があり、女性は家で家族の世話をするのが一番、という風潮があったようです。

 それが変わるきっかけとなったのが、1980年代のいわゆる『オランダ病(Dutch Disease)』、経済停滞と高い失業率だといわれています。女性の労働力を駆り出さずにはいられなくなったということでしょうか。また、1980年代に始まった、女性の権利を推進する政策も、女性の社会での活躍に拍車をかけたといえそうです。そして、女性が働き始めると同時に、パートタイムを含めて週3~4日の勤務が増えた、ということがいえるのかと思います」

 また1982年の雇用者団体と労働組合と政府の間で交わされた「ワッセナー合意」も大きなきっかけになったようで、そこから30年の年月をかけて生産性を上げながら、勤務時間を減らしていき、少しずつ今のような形になっていったのが実態のようです。

 さらに、すでに社外の好きなところで仕事を行うリモートワークやテレワーク、自宅で仕事を行う在宅勤務などを取り入れている業種・業界も、多く存在しています。筆者が調べたところ、IT、デジタル系は当然として、お役所や銀行、大学、調査機関などでもこうした働き方が多く取り入れられているようです

 また、小学生の子どもが2人いるママで、大手IT企業に勤める友人は、「在宅勤務でも仕事への支障は全くない。出社は2週に1回のミーティングのときぐらい。だいたい出社してたら子育てできないでしょ?」と話しています。この辺り、日本と比べると意識がかなり進んでいる…ということでしょうか。