今年から始まった「セルフメディケーション税制」。「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる対象の市販薬を1万2000円を超えて購入すれば、翌年の確定申告で税金が還付される新制度が始まりました。前回(「レシートがお金に変わる?スイッチOTC薬控除開始」は、ファイナンシャルプランナーの前野彩さんに制度の概要について教えてもらいましたが、後編ではQ&A方式でさらに細かな疑問にお答えします!

 「せっかく医療費控除の確定申告をしたのに、ちょっとしか税金が戻ってこなかった」……自分が経験した、あるいは友人からそんな話を聞いた、ということはありませんか?

 前回は今年から始まった新たな医療費控除、セルフメディケーション税制の「スイッチOTC薬控除」についてお伝えしましたが、少額から使える税制だからこそ、スイッチOTC薬控除の確定申告をしても、安くなる税金は少額かもしれません。

 特に、会社員にとっては、レシートを1年間せっせと集め、慣れない確定申告を頑張ったのに、「還付金はこれだけ?」とがっかりすることもあるかもしれません。でも、共働きのDUAL読者には、ぜひ実行してほしい理由があるのです。

 それは「保育料」です。

保育料は住民税の金額で決定される

 認可保育園にお子さんを預けている読者も多いと思いますが、その保育料が何を基準に決まるか、ご存じですか?

 保育料は、「住民税」で決まります。正確には、夫婦の「市区町村税の所得割」の合計額で決定されます。つまり、スイッチOTC薬控除を申告して所得税や住民税が安くなった結果、保育料が下がる可能性があるのです。

 保育料は住民税所得割の区分があるため、一定の金額の範囲内なら変わりません。でも、安くなる住民税が500円だったとしても、それによって一つ下の区分の保育料になったとしたら、年間で数千円から数万円分の保育料が安くなります。その可能性を秘めているのが、従来の医療費控除であり、今年から始まったスイッチOTC薬控除です。

 スイッチOTC薬控除については前回記事を、住民税と保育料の関係については、過去の記事「会社員も確定申告。住民税と保育料が安くなる」をご覧ください。

(※なお、2014年度まで保育料の基準は所得税でしたが、現在は住民税の所得割を基準に保育料が決まります。ご注意ください)