子連れだから親切にされることを前提にしていない

 自分がそんなふうだったから、「子どもはかわいい!」とは表向きのルールで、実際はみんな「人でなし」と思われたくないために、子どもや子連れに寛容なふりをしてくれているんだろうな、と今でも思ってしまうんですよね。

 だからこそ、「自分が子連れだから親切にされる」ことを前提にしていないし、目を向けてくれた方には感動してしまうんです。

 ああ、なんだか子連れが社会の中で窮屈に感じる理由が、少し分かった。

 「子どもや子連れに寛容なことこそが正義」みたいな雰囲気が、子連れにとって逆に居心地が悪いんだわ

 もちろん、私も子どもは社会の中で大切にされるべきだと思うし、子連れだからって肩身を狭くする必要もないとは思うけど、「子どもを好きかどうか。本当にかわいいと思って協力するかどうか」は人それぞれの状況もあるし、感覚も違うし、もう仕方ないじゃないですかそこを否定してしまうと、なんだかとてもうそくさい世の中になってしまいませんかね

 私の場合は、レストランや温泉旅館で「お子様お断り」と堂々と書いてくれていると、逆にホッとしたりするんですよね。

 「あ、ここは最初からダメなんだ。行って嫌な顔されるより全然良かったわ」って。向こうも商売だから、お客様のターゲットを絞ることは大切でしょうし。

 神社がベビーカーでの参拝を禁止したことが「子連れ差別だ!」などと批判の的になってしまうと、私は子持ちの立場ですが、逆に窮屈だなあ、と思ってしまったのでした(後々、神社の神主さんはお孫さんをベビーカーで連れて散歩するのが趣味で、前年まではベビーカーの参拝者用の優先道路も作っていた。だけど、そこに便乗してマナーを守らない参拝者が増えたために、ベビーカー禁止の貼り紙を貼るに至った、という事情も判明しましたね)。

 私は自分で子育てしてみて初めて、子どもをかわいいと思うようになったわけですが、世の中には建前ではなく、赤の他人の子をかわいいと思ってくれる子ども好きな人も、一定数存在するみたいです。