「正社員は無限に労働時間を捧げる」という前提をなくしたい

 働き方改革実現会議は2016年3月までの開催予定です。メインの議題は一億総活躍国民会議から引き継がれた「長時間労働是正のために時間外労働時間の上限規制をどうするか?」「同一労働同一賃金」の2つだと思っています。全部で9つの議題があり、「テレワーク」「副業兼業の自由化」など、最近もよくニュースになっていますね。しかし会議開催期間が短いので法改正までたどりつけるのは、「労働時間の上限」と「同一賃金同一労働」、この2つではないかとふんでいます。

 またこの会議は安倍総理自らが議長です。総理が議長となり、経団連や連合など労使のトップを集め、一気に働き方の問題を進めたいというたいへん野心的な会議です。マスコミの注目も多く、よく「労働時間の問題はどう話し合われているのか?」と聞かれますが、実はまだ話し合われていません。会議は毎回テーマが決まっており、「長時間労働」についてはまさに2017年1月から3月のテーマとなるでしょう。

 なぜもっと前に話し合えないのか? それはそれだけ水面下での調整が難しいからです。水面下というのは、企業経営者との調整です。経営者にしてみたら「正社員は無制限に働かせてよい」方がやりやすい。厚労省によると、特別条項つきの「36協定」があるのは22.4%。特別条項の上限が過労死の基準を上回る大企業が14.6%あるということです。

 「長時間労働」について「上限を入れるか」「入れるなら何時間か?」という議論がいよいよ働き方改革実現会議で始まります。「長時間労働撲滅プロジェクト」では私も仲間と一緒に署名運動に取り組んでいます。

 わたしは「命を守る労働時間の上限規制」は必要だと思っています。そして、「パパはゾンビ(=家にいない)」や「平日母子家庭」「ワンオペ育児」「ブラック企業」などのように、子育てや働くことへのネガティブなワードが流行る日本を、次の世代のために変えたいと思っています。

 そして「女性が活躍すること」「年収をあげること」にも、労働時間は大きな問題です。既に日本の女性は世界一寝ていないし、無償プラス有償では世界トップクラスで働いています。女性の時間は目一杯使われていて、これ以上どう活躍すればいいのでしょうか? いくら頑張っても「時短だから評価されない」マミートラック問題も、「長い時間働く人しか認められない」という「労働時間差別」の問題が大きいのです。一旦辞めた子育てや介護がある人が正社員になるのが難しいのも「正社員は無限に労働時間を捧げる」という前提があるためです。

 働き方改革実現会議が開催されているこの期間に、改めてワーキングマザーやイクメンパパたちに、今一度「子どもたちが働く日本の未来」について考えていただきたい。共に働き、共に子育てをしているDUAL世代はまさにイノベーションを起すチェンジメーカーだと思っています。皆さんもぜひご意見をお寄せください。

参考:ニッポン一億総活躍プラン

白河桃子ブログ (http://bylines.news.yahoo.co.jp/shirakawatoko