ケータイ・スマホを持ち始める年齢が下がるとともに、保護者は新しい問題に直面せざるを得なくなってきています。「スマホ事件簿」でおなじみのITジャーナリスト・高橋暁子さんによる連載「Q&A 子どもとネット いい関係」では、ネットやスマホ周辺におけるよくある疑問や悩みをデータとともに取り上げ、それに対する回答を模索していきます。

Q. 子どもに持たせる端末には何を選ぶべき?

災害時の緊急連絡用や両親が仕事をしているなどの理由で、子どもに携帯電話やスマートフォンを持たせることを検討している方もいるだろう。子どもには一体どのような端末を持たせるべきなのだろうか。子どもの利用実態とともに、安全利用の観点から使いやすい端末を考えていきたい。

小学生の3割が携帯電話・スマホを所持

 子どものインターネット接続機器の利用状況はどうなっているのだろうか。10~17歳の子どもを持つ保護者を対象とした内閣府の「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(平成28年3月)を見てみよう。

 子どもの利用率は、スマートフォンは48.7%、いわゆる格安スマートフォンは1.6%、機能限定スマートフォンや子ども向けスマートフォンは1.4%、携帯電話の契約が切れたスマートフォンは4.9%だった。54.9%がいずれか一つ以上のスマートフォンを利用していることが分かった。携帯電話は9.3%、機能限定携帯電話や子ども向け携帯電話は9.6%。その他携帯ゲーム機、据置型ゲーム機ノートパソコンや携帯音楽プレイヤー、タブレットなどが並ぶ。

 つまり、約半数がスマートフォンなどを利用できる環境にいるわけだ。そして、約10%が機能を限定した端末や子ども向け端末を持っているということになる。中高生も含めた調査ということを考えると、機能限定端末や子ども向け端末の利用率は高いと考えられるのではないか。

 上記調査は保護者の端末が利用できる場合も含まれている。では、小学生はどのような端末を所持しているのだろうか。

 ICT総研の小学生の子どもを持つ保護者を対象とした「小学生のスマートフォン利用実態調査」(2015年1月)によると、小学生のうち「従来型携帯電話(ガラケー)を利用させている」は27.2%、「スマートフォンを利用させている」は5.6%であり、合わせて32.8%が子どもに携帯電話・スマートフォンを利用させていた。携帯電話を利用する小学生に占めるスマートフォン利用者の比率は16.9%であり、およそ6人に1人という割合になった。実際に子どもがスマートフォンを所持している割合はまだ多くはないようだ。