女性登用に力を入れているイオンリテール株式会社で、2015年3月より取締役常務執行役員H&BC商品企画本部長を務める中島裕子さん。
1992年に現イオンに入社以降、商品の仕入れを担当。イオンの浴衣ブームやランドセルブームをけん引し、2013年3月より執行役員H&BC商品企画本部長へ抜擢されました。その直後に妊娠し、2014年3月に長女を出産。現在は取締役常務としてさらなるキャリアアップをし、イオンオリジナルのスキンケアシリーズ「トップバリュ セレクト GLAMATICAL(グラマティカル)」原液シリーズを開発。インターネット販売も新たに開始するなど、主にヘルス&ビューティー商品の仕入れや売り場開発を統括しています。そんな中島さんが、働き続ける理由とは?
一担当者からいきなり部長へ昇進。心で泣きながら会社へ行った日々
2歳の子を育てながら取締役常務という役職を務めることに、責任の大きさは日々実感していますが、気負いはないですね。
これまでの仕事の中で一番の壁だったのは、2007年に平社員から一気に商品部長に昇進したとき。社内の女性登用の流れもあり、マネージャーという中間管理職を経ずに、担当からいきなり部長になったんです。女性登用の一人として白羽の矢が立って光栄だったのですが、リーダー経験もなく、しかも当時珍しい女性管理職、さらに、異動先は全く経験のない鞄・服飾商品部門……と四面楚歌状態(笑)。
それまでの同僚たちとの人間関係もいったん崩れてしまい、精神的にも正直苦しい時期でした。周りの部下は、自分よりもその分野に詳しいプロフェッショナルばかり。信頼関係を築くまで最初はとてもやりがいを感じる余裕などなく、なぜ自分はここに来てしまったのだろう、なぜこんな思いをしなければならないのだろう、と泣きながら会社に行っていました。
その壁を越えたのは、自分の中で目標を見つけられたから。
私は前任と同じことをするために来ているのではなくて、会社が未経験の私をあえてこの部門に据えたということは、何か変えてほしいから。では、何が問題なのか。管理者ではなく、一消費者として「自分だったら……」という視点に切り替えると課題が1つひとつクリアに見えてきました。「売り場をこういうふうに変えて、お客さまによりすてきな売り場だと思ってもらいたい」という目標を持つことができました。
その信念ができたことで、周囲が反対しても自分の思いを熱意を持って丁寧に伝えることができるようになり、実績も周囲との人間関係も自然に良い方向へと変わってきましたね。