後進の育成にも注力。これまで培ってきた経験が生きるやりがい

 アナウンサーになって今年で21年。今はアナウンス業務のほか、後進を育成するため、新人アナウンサーの研修も担当しています。新人が独り立ちすると、あっという間に現場でバンバン使われるようになります。1人1人の良いところ、魅力を伸ばすという部分を大切にしつつ、なるべく現場で困らないように、またご一緒したスタッフから再度依頼が来るように、母的目線で多方面からクオリティーアップするよう尽力しています。そのために、実地により近い形が提案できないかとプログラムを考え、今年も新たなチャレンジをしています。

 講師の手配も仕事の1つ。実際に自分が講師として教えることもありますし、社内のつてを頼ることもあります。これと見込んだ人には新規でお願いすることも。何曜日の何時に誰にお願いするのか、皆レギュラーの仕事の合間をぬって対応しているので、講師の調整はまるでパズルのようです。けれど、これまで培ってきた現場との接点がこういうところでまた生きてきて、昔の番組で一緒だったスタッフにお願いして素材を借りたり、先輩のOGアナウンサーに講師をお願いしたり。これまでの経験が生きる仕事でやりがいがありますし、私くらいの年次のアナウンサーがやる意義があると感じています。

 また、CSR推進室のプロジェクトメンバーとして、会社がどのような社会貢献をできるのか検討し、形にしていくことにも取り組んでいます。被災地に行って必要な支援や音読をしたり、小学校に行って言葉の授業を担当したり、保育園に行って子どもたちと直に触れ合ったり。テレビの枠を超えた活動をすることで、一緒に参加した他のアナウンサーの新たな魅力や隠れた一面に気づいたり、新鮮な発見もあったりします。

アナウンサーとしての仕事がある限りは、全力で頑張りたい!

 女性アナには、いわゆる「30歳定年説」という言葉もありますが、現在、フジテレビアナウンス室は、女性アナが35人いる中で、ママアナ13人に加えて間もなく新たにママの仲間入りする人が2人いて、出産後も働くのが当たり前になってきています。時代は変わり、今はこれがレギュラースタイルなんだな、と感じます。

 アナウンサーの仕事にやりがいと魅力を感じている一方で、働き続けることについては常に悩んでいるかもしれません。特に、産休・育休中などで長期休みに入り、いったん現場を離れると一人の視聴者になります。現場にいるときは同僚がテレビに出ているのが当たり前だったのに、別世界のような不思議な感覚になりました。ここにまた戻れるのかな、と不安な気持ちも芽生えましたね。同時に産休・育休中の一視聴者としての経験は、確実に私の強みになっています。

 一人目の産休・育休中に東日本大震災が発災し、報道の大切さや逆に無力さを痛感。復職するときには、「人の思い」と「確かな情報」を“大切に伝える”仕事に戻ることを強く意識しました。また、二人目出産後には、ちょうど2020年東京オリンピック開催が決定。「2020年のこの瞬間に絶対に仕事をしていたい!」という強い衝動に駆られ、復職を後押しされました。