「オーケストラが頭の中で鳴る」
――今はジャズ・ピアニストとして活躍されていますが、エレクトーンの経験は活きていますか?
テクニックの面では、エレクトーンとピアノはまるで違うんですよ。ピアノに転向し、ピアノの弾き方に悩んだ頃は、「もっと早くからピアノをやっておけば」と思ったこともありました。「エレクトーン出身だと人に言いたくない」なんて思っていた時期も。でも今では、エレクトーンをやっていて本当に良かったと思います。
エレクトーンでは、さまざまな楽器の音を奏でます。そのエレクトーンを経験したことが作曲にとても活かされていると気づいたんです。
例えば、ピアノで作曲をしている時でも「頭の中では自然にオーケストラが鳴っている」事があります。「オーケストラなら、このフレーズはチェロに弾いてもらいたい。ここはトロンボーンだな」って。単一音色のピアノが、私にはとても色彩豊かに見える。それは幼い頃からエレクトーンをやっていたからこそだと思います。