社員を“2万%”信用する

 説明会では、WAAを実施した社員のコメントも紹介された。いくつか抜粋しよう。

<導入1カ月後の社員のコメント>
・ 以前より、自分で働くことを選択している気がする
・ 以前より、1日1日をどう有効に活用するか考えるようになり、気分が良い
・ より幸せな働き方とはどういうものか考えるようになった

<導入3カ月後の社員のコメント>
・ 会社への満足度が上がった
・ 自律の責任は重くなったが、拘束感は減った
・ 電車が混雑する時間を避けられるようになり、効率が上がった

 いずれも非常にポジティブで、働くことに対する意欲を感じさせる。中でも注目したいのは、「会社への満足度が上がった」というコメントだ。

 一般的に、サテライトオフィスや自宅などで社員が勤務することは企業にとって不安材料だ。説明会の質疑応答でも、「社外勤務は、組織の目が行き届かないので不安だ」という声が上がるという。この問題を解消し、社外勤務でも社員がモチベーション高く働き続けるために必要なのは、「社員を“2万%”信用すること」だと島田氏は言い切った。

 「私たちは社員を全面的に信頼して働き方の選択を委ねていますが、ビジネスリスクにつながるような問題は一切起きていません。究極的には、成果が出さえすれば一日の勤務時間なんて2時間でもいい。所定労働時間のような枠組みも要らないと思っています。周りにどう見えるか心配だという声も聞きますが、たとえサボっているように見えたとしても、それは周囲がそう定義しているだけかもしれません。企業側も社員側も、起きていないことを先回りして心配するのはやめて、まずはやってみようということなんです」

 制度が何のためにあり、なぜやるのかという共通認識さえ持てていれば、あとは社員を信じるだけ――。

 その純粋な信頼は確実に社員の心を動かし、信頼に応える働きをしようという思いにつながっていくという。一人ひとりのモチベーションが上がれば、必然的に生産性も上がり、企業の持続的な成長にも結び付くはずだ。仕組みづくりがプラスの連鎖を生み出せるかどうかは、作る側がどれだけ社員を信頼できるかにかかっていると言えるのかもしれない。