「小1の壁」として子どもの放課後の過ごし方に悩むママ・パパは多いですが、高学年になると状況はまた変わります。公設学童に学年の制限で通えなくなったり、子どもが通いたがらなかったり。周りのお友達は塾通いをスタートしたけれど、受験をしないウチの子はどうすればいいの…? 放課後の過ごし方のポイントを専門家に聞きました。また、選択肢の一つとして、DUALではちょっと変わった「習い事」にも注目しました。新年に心機一転、放課後の過ごし方を見直してみませんか。4月からの新生活を今からイメージしてもいいですね。

 【小学校高学年のママ・パパ/充実した放課後時間!】
(1) 高学年 学童を卒業したら将来を育む習い事を ←今回はココ
(2) 放課後の習い事 忍耐力や問題解決力を育てる
(3) 小4からの放課後 勉強への意欲を高めるには?
(4) 高学年 受験をすると決めたら、どんな放課後になる?

  子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

放課後と夏休みの時間は、授業時間よりも多い

 小学生にとって、放課後の時間と、夏休みの時間をトータルすると、学校の授業時間以上に長いとも言われます。放課後をどう過ごすかということは、子どもの成長にとっても大事なテーマです。特に共働き家庭の場合、頭を悩ませることが多いのではないでしょうか。小学生の放課後の過ごし方の選択肢としては以下のようなものが挙げられます。

学校や児童館などの公設学童
民間学童
塾通い
習い事
自宅や祖父母宅、友達の家などで過ごす
海外留学、山村留学など、生活する場所を根本から変える

 「子どもに合ったいい学童が近くにあれば、放課後を過ごす場所としてとても喜ばしいこと。ただし、学年が上がるにつれて、徐々に平日の週5日サイクルがマンネリ化するようであれば、週1~2回くらいは習い事を取り入れるのも一つの方法です」

 放課後の小学校を活用したアフタースクールを展開する「放課後NPOアフタースクール」の平岩国泰さんは、放課後の過ごし方についてこのようにアドバイスします。習い事の送り迎えが難しい場合は、祖父母の力を借りたり、民間学童やベビーシッターサービスの送迎オプションを利用する、平日の送迎を近所のママと協力し合うなど、無理なく継続できる態勢を整えることも大切です。

<span style="font-weight: bold;">平岩国泰さん</span> 慶應義塾大学経済学部卒業。流通業界で勤務後、2004年長女の誕生をきっかけに、放課後に子ども達が自主的に通いたくなるような“アフタースクール”の活動を開始。2009年「放課後NPOアフタースクール」を設立。現在、全国に15校を展開。参加した子どもたちは5万人以上(撮影:吉澤咲子)
平岩国泰さん 慶應義塾大学経済学部卒業。流通業界で勤務後、2004年長女の誕生をきっかけに、放課後に子ども達が自主的に通いたくなるような“アフタースクール”の活動を開始。2009年「放課後NPOアフタースクール」を設立。現在、全国に15校を展開。参加した子どもたちは5万人以上(撮影:吉澤咲子)

 習い事選びは、子どもに「意欲」があり、「楽しい」場所であるかどうかが肝心だと、平岩さんは言います。

 「親が子どもの習い事に加熱し過ぎることは注意したい部分で、例えば、毎日のように違う場所へ行くような場合は1週間のリズムが取りづらく、週末になるにつれてぐったり疲れている子どもの姿も見られます。どんな習い事でもいつか成長が壁に達したとき、その壁を抜けるには子どもが『好き』でないと難しいし、その先に成長があるもの。人生の縮図を体現できたり、学校以外の人間関係がつくれたりするという意味では習い事はとてもいいものですが、低学年のうちは幅広く試していても、中・高学年にはその子が本当に熱中できる1つか2つに絞られるといいのではないかと思います」(平岩さん)

 「親の期待に応えなければ」という気持ちから、子どもが無意識に無理をしてしまうこともあると言います。

 「習い事に対する親のスタンスは、子どもがやりたくなければやらなくていいし、やりたければ応援するという姿勢でいいと思います。時々、習い事をさせていないと子どもがかわいそうなのではないかと心配される方もいますが、そういうことは決してありません。友達と過ごせるだけで子どもの願いは基本的には満たされていて、友達とみんなで何かを考え工夫する中にも学びがありますよ」(平岩さん)

 高学年になると、塾も放課後の居場所の選択肢の中に入ってきます。「私が見ている限りですが、子ども達は意外と楽しそうに通っていますね。ある意味友達とのコミュニケーションの場ですし、学校のクラスで難しい関係も多くなってくるとは思いますが、そこから解放されて、することが何かある時間帯なので、人間関係的にはラクだと思うんですね。そういう意味で塾も現代の子どもの一つの遊びになっていると感じます」(平岩さん)

 <次ページからの内容>
・高学年になると、居場所にこだわりが出てくる
・1つの作品を3年かけて作る子もいる造形教室
・トライ&エラーを繰り返しながらも、目標を実現する力が付く