「グローバルな環境で、子どもにより高いレベルの教育を受けさせたい」と、子どもの将来の可能性を考えて、親子で日本を飛び出す海外移住に興味を持つ人は多いでしょう。海外で会社員として働く形態には、主に「海外駐在」と「現地採用」の2種類がありますが、グローバルライフプランを現実的に考えるためには、海外移住に関わる費用をはじめ、仕事や物価、治安、教育環境など現地の情報を総合的に押さえたうえで、後悔のない決断をしたいものです。シンガポールで現在2歳の娘を育てるファイナンシャル・プランナー(FP)花輪陽子さんによるこの連載では、実際に現地で子育てをするお金のプロの視点から、現地採用の基礎知識や子育て事情のリアルを伝えていきます。今回は、一般的な現地採用の共働き家庭が通う「日本人学校」「インターナショナルスクール」「ローカルスクール(公立校)」を例に、それぞれ卒業後の進路や大学卒業までの教育費総額をシミュレーションしながら、費用対効果を検証していきます。

日本人学校、インターナショナルスクール、ローカルスクールを進路別で比較

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。 シンガポールで一般的な共働き家庭(現地採用)の子どもが通う進路としては、大きく分けると、日本人学校、インターナショナルスクール、ローカルスクールの3つがあります。海外移住をするなら、異文化に触れる経験をできる限り生かしながら、子どもに合った教育を受けさせたいと願うのが親心。子どもの進路を決める際には、駐在などの短期的な滞在を除いては、長期的な視点が必要になってきます。最終的にどこの国の大学を目指すのか、どの国で就職をするのかなど、将来の可能性も視野に入れながら判断をしましょう。

 ローカルの人の場合はシンガポールの大学の他に、英国や米国を中心とした海外の大学に行くことが一般的なようです。大学卒業後はシンガポールエアラインやシンガポールガバメントで働いたり、PwCコンサルティングやシティグループやP&Gなど外資系企業で就職をしたりする人も多いです。

 私は大学時代に米国へ短期留学をしてその後、米系の投資銀行で8年間働いたのですが、シンガポールや米国では、日本以上の学歴社会を感じるシーンが多くあります。例えば、両国でMBAやビザ(永住権含む)などを検討した際に大学の成績表なども提出しなければならない機会も多いですし、大学の世界ランキングもかなり参考にされるようです。

 幼少期からの教育に熱心な家庭が多いシンガポールで2歳の子を育てる今、来年度の幼稚園への入学を前に、子どもの大学までグローバルな視点で考えて、進路を決めていかなければならないと考えさせられます。子どもが社会に巣立つ20歳以降の各国の経済状況も知っておきたいものです。

各国の経済状況は、“2030年や2050年の世界経済予測”を複数の企業や研究機関が出していますので読むと参考になるでしょう。『2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する』(文春文庫)によると、2010年にはアメリカの7割あった日本の一人当たりのGDPが2050年には58.3%まで低下し、アジア経済が世界経済の半分を占めるようになるなか、日本は相対的に急速にプレゼンスを失っていくそうです。