こんにちは、治部れんげです。昨年秋から冬にかけて、そして今月も、学校の先生向けの講演が続いています。先生達の悩みは、長時間労働。しかも、それを問題だと「言い出しにくい」という話も聞きました。今回は、先生の長時間労働問題を考えます。

児童や生徒より早く登校し、自分の仕事は下校後に……

 「働き方と男女平等をテーマに研修の講師をしてほしい」。日本教職員組合から依頼を受けたのは、昨年(2016年)夏のこと。小学生の子どもを持つ親として、先生には毎日お世話になっているので、すぐお引き受けしました。

 私は雑誌記者のころから約20年、様々な仕事や働き方について取材して記事を書いてきました。そのほとんどが民間企業に関するものだったので、学校の先生はビジネスパーソンとは違う――と思っていました。でも、色々調べたり先生達と話したりして気づいたのは、共通点も多いということです。

 特に気になったのは、日本の先生の労働時間が長いこと。

 OECD「国際教員指導環境調査」によると、日本の中学校の先生は、週平均の労働時間が53.9時間。一方、調査に参加した34カ国の平均は38.3時間。日本の先生は国際平均より15時間も多く働いているのです。週5日労働とすれば、毎日3時間も多く働いていることになります。

 さらに詳しく見ると、日本の先生は授業の準備などに多く時間を割いていることが分かります。労働時間が長いためか、日本の中学校で校長先生に占める女性割合は6%と、調査参加国中で最も低くなっていました。

 日教組でお話ししたときは、このデータを紹介しつつ、「先生自身のワーク・ライフ・バランスが心配であること」「介護や育児中の先生には、会社員と同様に時短勤務を使ってほしい」と話しました。

 すると、九州のある県から来た先生から質問を受けました。「『時短勤務の推進をしたくても県民の声が気になって躊躇してしまう』という声があります。どうしたらいいでしょう?」。

 要するに、先生には「朝、児童(生徒)が登校するときには学校にいて、児童(生徒)が帰ってから夜まで学校に残って仕事をすべき、と思い込んでいる人が少なくない」ということでした。

 そんなのはおかしい、と私は思います。先生だって人間ですから働き過ぎては体を壊します。何より、先生の家庭生活を犠牲にして、子どもを朝から晩まで見てもらうのが当たり前、という考えには全く賛成できません。

画像はイメージです
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