女優キャリアは20年、母親としては“駆け出し”

木村佳乃(きむら・よしの)
木村佳乃(きむら・よしの)

 木村さんは30代半ばで結婚。女優として多忙を極める中で出産、子育てを続けている。

 「もともと子どもが大好きだったのですが、幸運なことに授かることができ、今、5歳と3歳の女の子を二人育てています。初めから産後も仕事は続けるつもりでいたんですね。もちろん、なにかあれば状況が変わることはあるかもしれませんが、女優というお仕事は定年がありませんので、今後も需要があればずっと続けていきたいという気持ちでいるんです。とてもやりがいのあるお仕事ですから。だからある意味、“仕事ありき”で子どもを育ててきている部分はあります」

 はつらつと答える姿からは、子育てをしながらもキャリアを中断することなく働き続けてきたワーキングマザーとしての自信が感じられる。とはいえ母としての葛藤はもちろんあるという。

 「子ども達と離れるのはやはりさみしいですよね。3歳までの時期が重要と聞けば、そうしたことが気になったことも、ないとはいえませんし。でも子どもの年齢は、3歳までに限らずずっと一回しかないものですから。だったら子ども達と離れているからこそ頑張ろうと思ってお仕事をしたいですし、もっともっと、集中して仕事に打ち込もうと思うんです」

 木村さんは現在、NHKの朝の連続テレビ小説で『ひよっこ』の撮影に入っている。

 「どうしても、夜は子ども達が起きている時間に帰宅するのが難しいんですね。それでも寝顔を眺めたり、朝、起きてから支度をするまでの間に『毎日こんなことをしているのよ』という話を聞いたりすると、驚いたりうれしくなったりします。それでまた、頑張ろうという気持ちになれるんです」

 もちろん、働く母として物理的に工夫が必要な場面はあり、あるいは対応できずに心を痛めることもあるという。

 「特に、先ほども申し上げましたが子ども達が起きている時間に帰れないことや、朝は5時には仕事に行かなくてはならないこともあるというのは、通常の保育園の時間帯では、カバーしきれない時間も出てきてしまいますし…。遠い場所でロケをしているときに、『お子さんが発熱したので今すぐ迎えに来てください』と言われてもすぐに行けなかったりすると、もう本当に胸が痛いんです。頑張ってはいても、20年続けてきた女優業とは違い、母親としては“駆け出し”なんだなと感じます。迷うこと、悩むことばかりなんです」