先日、日経BP社で小学校低学年のお子さんをお持ちの親を対象に、親野智可等さんのセミナーを実施しました。親野さんは、公立小学校で23年間、教師を務めた経験からメルマガ「親力で決まる子供の将来」を発行する教育評論家です。学習面を中心に小学校生活を充実したものにするために、親は子どもとどう接していくのがいいのかという、親子のコミュニケーションについてお話を聞きしました。その内容をお伝えする本連載。8回目のテーマは「子どもの地頭を良くするために親ができること」です。

集中力、創造力、記憶力、表現力……たった1つのことが、全てを伸ばす

親野智可等さん
親野智可等さん

 前回までは子どもがしっかり勉強できるようになる工夫についてお話してきました。今回は子どもの“地頭”をよくするためにはどうしたらいいのか、といったお話をしたいと思います。

 私は様々なメディアで小学生の勉強について取材を受けますが、時々こういう質問を投げかけられるのです。「子どもの集中力をつけるためには、どうしたらいいのでしょうか?」「創造力をつけるためには?」「記憶力を付けるには?」「表現力を伸ばすには?」「思考力をつけるには?」などといった感じです。

 こういった質問で、とにかく子どものそれぞれの能力について、どうすればいいのかといった質問をしてまとめたいという意図が取材する側の方々にはあるのでしょう。例えば、思考能力を付けるためには、パズルがいいとか、表現力を付けるには読み聞かせがいいといった答えを求めているようです。しかし、私は、それは基本的に間違っていると思っています。

 なぜなら、実は一つのことをやりさえすれば、全部の能力を付けてあげることができると思うからです。

 それは何か。「本人が好きなこと」「よくやっていること」をたくさんやらせてあげたり、深めさせてあげたりすることなんです。これが、子どもの頭を良くするためには、非常に重要なポイントです。