時間を意識させる秘密兵器“模擬時計”

 子どもが時間を意識して生活できるようにするために、私がおすすめしたいのが、“模擬時計”です。

 模擬時計というのは紙で作った時計のことです。よくリビングなどに家族全員が見ることができるような大きめの時計を置きますが、その時計はアナログの時計にしたほうがよいでしょう。そして、その本物のアナログ時計の横に、同じ大きさ、同じデザインの紙で作った模擬時計を置くのです。そして、勉強を始める時刻を模擬時計に明記します。例えば、夕方5時半とか、5時45分とかを示す長針、短針を書き込んで、「勉強」「宿題」などと書くのです。

 この模擬時計があると、子どもたちは自然と時間を意識するようになります。そして、初めは勉強をやる気がなくても、「あ、あと30分で勉強の時間だな」「ああ、あと10分で勉強だ」などと気にするようになり、だんだん心の準備ができていきます。

 あと3分で勉強の時刻といったことになると、嫌だなと思いつつも、平気で遊んでいられなくなります。仮に遊んでしまって1分が過ぎてしまったりしようものなら、もう、無視はできないといった感覚になるのです。逆に、模擬時計などで見える化しないままだと、時間を意識しないので、10分過ぎようが、30分過ぎようが平気なんですよね。

 これは、大人でも同じです。ある学校では、職員会議を行う部屋のアナログ時計の横に模擬時計が貼ってあります。模擬時計には、会議終了の時刻が書いてあります。例えば、4時半に終了予定なら、それが模擬時計上では見える化されている。当然、職員全員がその情報を共有できます。

 「あと15分で終了だな」ということが分かると、発言をコンパクトにしたり、この議題は次回に回そうとか、みんなで時間を守ろうと意識するので、終了時刻をちゃんと守れるわけです。

 大人でも、見える化しているのと、していないのとでは、ここまで違う。子どもなら、なおさらのことです。ですから、模擬時計は子どもにとっておすすめのツールです。