先日、日経BP社で小学校低学年のお子さんをお持ちの親を対象に、親野智可等さんのセミナーを実施しました。親野さんは、公立小学校で23年間、教師を務めた経験からメルマガ「親力で決まる子供の将来」を発行する教育評論家です。学習面を中心に小学校生活を充実したものにするために、親は子どもとどう接していくのがいいのかという、親子のコミュニケーションについてお話を聞きしました。その内容をお伝えする本連載。「親野智可等 だから小学校低学年の子どもは面白い」に続く2回目のテーマは、「学力をつけるための家庭教育」です。

否定的な言葉のシャワーは、深刻は弊害を及ぼす

親野智可等さん
親野智可等さん

 前回お伝えしたように、小学校に入りたての1年生や2年生は男の子でも女の子でも、どちらも牧歌的な面があって楽しいものです。しかし、親であるみなさんからしますと、それだけでは済まされない心配事もありますよね。それは、学力の問題です。

 1~2年生の段階ではまだそれほど学力に差が出るものではありませんが、中学年を経て高学年の5~6年生ともなると、かなり学力の差が開いてきます。では、学力をつけるためにはどんな家庭教育が必要なのでしょうか。

 みなさんには、「わが子に勉強を好きになってほしい」「できるだけ学力をつけてあげたい」といった気持ちが強くあると思います。その気持ちを実現するためにはどうするかということですが、これがなかなか難しいものです。

 ありがちなのは、ついつい叱って勉強させようとすること。「また勉強してない!」とか、「何度言ったら宿題をやるの!?」「さっさと勉強しないとダメでしょ!」「また○○していない! それは違う、ダメでしょ! しっかりやらなきゃ!!」などなど。こういった“否定的な言葉”がどうしても出てきてしまいがちなんですよね。

 低学年のうちはそれほどでもないかもしれませんが、学年が上がるにつれて言葉がキツくなってしまいます。特に中学受験を意識しだすと、親の焦りも加わってますます言葉がキツくなっていきます。ところが、子どもはそう簡単には勉強をしてくれません。その結果、さらに子どもを否定的な言葉で叱ることばかり増えてしまうという悪循環が生まれてしまいます。

 みなさんにご理解いただきたいのは、こういった「否定的な言葉」をわが子に浴びせかけてしまうのは、子どもにとって非常に弊害があるということ。これをまずは知っていただきたいと思います。

 これは勉強の話だけではなく、日ごろのしつけについても同じことが言えます。「また片づけをしていない! 何度、言ったら分かるの?」「また歯を磨いていない。ダメでしょ、やらなきゃ!」「なんでやらないの? あなたのために言ってるんだよ!」「何度、同じ事を言わせるの? ママ(パパ)を困らせないで!」などなど。似たような言葉をわが子に投げかけたことのある人が、ほとんどなのではないでしょうか?

 こういった否定的な言葉を日々、雨あられのように浴びせられている子どもというのは結構多いようです。みなさんが思っている以上に、否定的な言葉のシャワーというのは、実は深刻な弊害を子どもに及ぼします。

 こういった問題に関する3つのポイントがありますので、今から話してみたいと思います。