不特定多数を狙うテロ事件の被害に遭わないために

――では、まずテロ対策について教えてください。

 テロには、2つのパターンがあります。ひとつは、メッセージを発信するために不特定多数を狙うパターン。もうひとつは、身代金目当てで特定の相手を狙うパターンです。まずは、不特定多数を狙うパターンからお話ししましょう。

 不特定多数を狙うパターンの場合、観光地を狙います。特に、海外の観光客がたくさん集まる場所はリスクが高いということを覚えておいてください。こういう場所で事件を起こせば、様々な国で報道されるため、インパクトが強いですよね。それが、テロリストの狙いです。

 こういう場合、あらかじめ防御するのは難しいですが、いつもお話ししている「犯罪が起こりやすい場所の2つのポイント」を覚えておけば、ある程度、兆候を察知できるかもしれません。

 人が多く集まる場所は、人の目が多いため、見えやすい場所にも思われがち。しかし実は、特定の人が行動を起こしても人ごみに紛れて見えにくい、つまり「心理的に見えにくい」場所なのです。

 さらに、観光客が多い場所は、誰でも「入りやすい場所」。つまり観光地は、この2つのポイントを満たした場所ということになります。こういう場所に入ったときは、特に警戒心を持って行動するように心掛けましょう。

 事件が発生した場合の対応についても、考えておく必要があります。例えば、もし爆発音がしても、決してその場所に様子を見に行かないこと。自爆の場合、二次被害、三次被害が発生することも考えておかなければなりません。第二、第三の被害に遭わないために、少しでも早くその場所から離れることが大事。ただし、走って逃げると事故になりますので、冷静さを保ち、落ち着いて行動しましょう。

 そのためには、宿泊所を含め、どこに行ったときもまず避難ルートを確認しておくこと。その場合、少なくとも2つ以上の避難ルートを覚えておけば、1箇所で事件が起きて避難できないとき、別のルートに切り替えることができます。このとき、大人だけではなく、必ずお子さんと一緒に確認し、「ここから逃げればいいね」と話し合っておくこと。いざというときに落ち合う場所も決めておくといいですね。これはぜひ、習慣として身に付けておいてください。