A. 刑法には、信書開封罪というものがあります。これは、特定の人から特定の人に宛てた封をしていた手紙などを、正当な理由がないにもかかわらず開封してしまうことを罰するものです。他人の手紙はもちろん、家族であっても、無断で開封してしまうと罪が成立する可能性があります。開封すること自体を罰するものなので、手紙の中身を実際に読んだか読んでいないかは罪の成立には関係ありません。
もっとも、信書開封罪は親告罪、すなわち被害者が訴えないかぎり罪にはならないものなので、家族間の場合には実際に訴えることは少ないでしょうし、実際に警察に被害を訴えたとしても事件として扱われない可能性があります。家族のことは家族で解決するように、といった具合です。
では、どのような場合に正当な理由があるといえるのでしょうか。子どもが未成年の場合、ご両親は親権者ということになります。親権者には、子どもが正しく成長するように見守りサポートする義務があります。そのため、親権行使の範囲内ということであれば、正当な理由があるといえます。例えば、子ども宛てに不明な請求書が届いていたので中を確認した、などであれば正当な理由といえるかもしれません。
なお、「親展」と書かれていたとしても、親展は、その人に宛てた手紙だということを明確にしているものなので、他の人の手紙を開けてはいけないということに変わりはありません。未成年の子ども宛てにきた親展でも、親権行使の範囲内、つまり正当な理由があれば、親は開封しても罪に問われない可能性が高いです。
親子といえどもお互いのプライバシーを意識しつつ、封を開けたとしても問題とならないような親子関係を普段から作っておくことが大切なのかもしれませんね。