子どものタイプ別「本番で勝つための学習法と親の関わり方」

 小川先生はこう解説します。

① 【計算が速くて、負けず嫌いな子】

 計算が速くて負けず嫌いな子というのは、学力が高く、人と競うことが好きなので、難関校を狙う子が集まるSAPIXに向いています。ただこの性格と学力を順調に伸ばしていければいいのですが、このタイプの子は「いかに早く終わらせるか」に喜びを感じてしまうところがあり、「うっかりミス」に要注意です。

 また、このタイプの子はテストの結果にはこだわりますが、その中身をきちんと振り返ることはあまり好きではありません。そのため、同じ間違いをくり返してしまうことがあります。

 対策としては、きちんと「振り返りチェック」をするほかありません。しかし、このタイプの子は、自分を否定されると途端にやる気がなくなってしまいます。ですから、その子の自尊心を傷つけない言い方をしてあげることが大事です。

 例えば、振り返りチェックをさせるときには「計算を速く解くことは大事だよね」と、まず速く解こうとしたことについては褒めてあげましょう。その後に、「でも速く解こうとすると、時にはうっかりミスをしちゃうこともあるよね。今回はここが間違っていたけれど、ここはうっかりミスなのかな?」とその原因を探ってみましょう。計算が速くできる子というのは、もともと学力が高い子なので、自分でその原因を見つけることができるでしょう。きちんと振り返りができたら「自分で間違ったところに気づけるというのは、客観視できるということだから、すごいことなんだよ」と褒めてあげると、その後も気分良く勉強することでしょう。このタイプの子に響くのは、自尊心をくすぐる声かけです。

② 【計算が速くて、マイペースな子】

 計算が速くてマイペースな子というのは、学力は高いけれど、競争心がないのでSAPIXにはあまり向きません。演習問題をひたすら解かせる量重視の早稲田アカデミーでは、その力を発揮できるでしょう。ただし、早稲田アカデミーのNNクラスは、SAPIX同様かそれ以上のハードなクラスです。マイペースな子に該当するのは早稲田アカデミーのレギュラークラスに限ります。

 早稲田アカデミーは塾から言われたことをコツコツやる子に向いている塾です。しかし、その勉強量は他塾と比べるとかなり多く、どんなに順調に進んでいる子でもしんどいものです。ですから、まずは日ごろから頑張っていることを褒めてあげましょう。

 また、早稲田アカデミーの宿題量は相当なもので、のんびりとやっていてはいつまで経っても終わりが見えません。そこで、1週間分の予定をしっかり立てておくことをおすすめします。そして、予定通りできたら十分に褒めてあげましょう。

 それでも万が一、テストで思うような点が取れなかったときは結果を叱るのではなく、「あなたは毎日頑張って勉強しているよね。見ていてとても感心しているよ。でも、今回は思うような点が取れなくて残念だったね」と、まずは努力した過程を認めてあげる声かけをし、その上で振り返りをさせましょう。すると、「いつも私のことをちゃんと見てくれているんだ」と前向きな気持ちになります。